2010-11-13
「みなさん、よんばんわ!これであなたもあやかしがたりスト! 今から買って読み始めても4巻完結までには間に合うよ! あやかしがたり販売促進キャンペーン!!」その7
よんばんわ、渡航です。
なんかさっきうがいしたら、吐いた水に思いっきり血が混じってて俺死ぬんじゃねぇの。
ここ数週間、マジで体調が悪くて自分でもびっくりです。
まぁ、言うほど深刻ではないので「渡航さん大丈夫ですか??」「とっても心配ですぅ〜><」「渡航さんの病状が少しでも軽くなるように僕、本買います!」「よし、じゃあ俺はブログを見るぞ!」みたいな温かいコメントはなくてもだいじょぶですよ。
しばらくの間は10時に出社して帰ったら日付変わっててそれから原稿やってたらOh,朝じゃないかみたいな生活だったので身体が死にかけてるだけだと思います。たいしたことない。
これからさらに会社のほうが忙しくなるとか鬱すぎてやばい。
とまれこうまれそんな感じで文字通り血を吐きながら渡航は生きています。
さて、11月も半ばに差し掛かり、そろそろ皆さんもガガガ文庫11月の新刊を買う準備に忙しいかとは思いますが、
ぼくのほうも新作の執筆にごりごりと時間を割いております。
俺、この原稿書き終わったら一度病院に行くんだ……
で、ですね。
そんな忙しない日常の中でも心温まる瞬間があってそれを支えにまた日々の営みに埋没していくわけですが、昨日はいろいろと荷物が届いててそれが過ぎ去った在りし日のことを思いださせるとともにこれから先に広がる際限のない将来をふと思わせるわけです。何言ってんの
要約すると、『あやかしがたり4』の見本誌が届いたよ。
文字通りお荷物が届くとかトンチがきいてるよ……
「自分のかいたものは読み返さない、過去は取り返しがきかないから。重版かかったらいろいろ直すけどその予定はない」のキャッチフレーズでおなじみのぼくなのですが、今回は珍しく1〜4巻まとめて読み返してみようかな、なんて考えてます。
どんなに売れてなくても愛しい我が子、その最後の雄姿をちゃんと見届けてやろうと思います。
というわけで、今回は適当に『あやかしがたり』とその周辺のことでも振り返ってみようかな。興味ないとか言うな
まぁ、トラブル、というわけでもないですがこの作品にもいろいろあったのでそろそろ怒られるような発言がうっかり飛び出しちゃったらごめんね、担当さん。てへっ☆
「みなさん、よんばんわ!これであなたもあやかしがたりスト! 今から買って読み始めても4巻完結までには間に合うよ! あやかしがたり販売促進キャンペーン!!」その7でございます。
【この作品のテーマとか】
特にないです。むしろ俺より担当さんのほうがしっかり理解しててびっくりした。
打ち合わせの時に「これってそういう話だったんか」と思うことしきり。
強いて言うなら、「どうやって世の中と折り合いをつけるか」というところにあったと思います。
生きるのって基本的には辛いじゃないですか。嫌なことたくさんあるじゃないですか。
正直目をそらしたいことなんていくらでもあるし、売り上げとか。
で、そうしたものたちって往々にして自分一人が何かしたからってどうにかなる物じゃなくて、自分の手の届かないところで決められているように感じてしまうもんです。
それはやだなーと、そうじゃないほうがいいなーというのがあの物語に込められた一つの願望だったのだと思います。
特にないです。ソレ系の本、よく読んでたので書けるんじゃないかと思ったからです。
それが選考で有利に働いた形跡は特にないっぽい。
「か、勘違いしないでよねっ!べ、別に時代劇が珍しくて選ばれたわけじゃないんだからねっ!」というお言葉もいただきました。少しはちゃんとデレろ
今考えれば、という注釈はついてしまいますが整理してお話すれば時代劇については技術的な面、妖怪については心情的な部分で選んだと思います。
まず、時代劇。
これって一種の様式美なので、一から世界観設定を練り上げる必要がないんです。
時代劇って言えばみんなだいたいのことは想像がつくので、事細かに世界の背景を作らずとも読者に伝わるというメリットがあります。
いきなり『その世界には七人の神、創造神たる三柱の神「賢帝ガラン」「戦女神メシカ」「心守ハーティア」破壊神たる三柱の神「愚王オルト」「失せ御堂ローグ」「疑心暗鬼ライライ」そして永久欠神「名も無き神」がおり常に繁栄と衰退を繰り返していた。その神々の掌の上で踊り続ける人間たちがある時その支配のくびきから逃れんとしたがために立ち上がった。だが、しかし彼らもまた神より下された命によって生きながらえる者たちであり、それぞれが七柱の神の転生体であった。その魂に刻まれた【宿命】と言う名の能力を駆使し、自らの根源たる神に戦いを挑む』みたいなことを書こうとしたらぼくの技量では世界観説明に一冊費やしてしまい何も書けなくなってしまうだろうなーと思い、だったら共通概念として既に成立しているもの中で最大限ストーリーやキャラクターを描くほうがいいだろうと考えたわけです。
あと、この話面白くなる要素がねぇ。
学園ラブコメとかファンタジーとか数ある共通概念の中で時代劇を選んだ理由は好きだから。
あと、刀が出てくるマンガは当たるから。ソースはバクマン。
んで、妖怪。
これは「どうすることもできないもの」のメタファーなんだと思います。
神様とか運命とか売り上げとか、そういうどうしようもないものなんだけど、何かのせいにしなくちゃやってらんないから、だからそういう存在を求めた。
理不尽で不条理な、例えば不慮の事故とか売り上げとかを前にしたときに「俺は悪くないのに」という悲しい願いが生み出したもの、と勝手に解釈してぼくは書いてました。
ほんとにもー、妖怪怖いよね。
妖怪友達減らしとか勝手に友達のアドレス変えるし、妖怪目覚まし時計止めとかそもそもセットした形跡を消すとかかなり悪質。
【キャラクターについて】
特にないです。自分の願望を形にしただけ。
主人公・大久保新之助についてだと、
いろんなことから目をそらしてほしくないから「あやかしを視ることができる」って能力をつけて、そっから広げた感じです。
妖怪とか神様とか運命とかそういう「やなことの象徴」にまっすぐに向き合ってほしいなってだけでした。
で、そこが決まると「こんなこともあったろうな」「一緒にいる人はこんな人たちだろうな」「そしたらこう育ってこんな人生を歩むだろうな」と追体験チックに考えてたらあーなりました。
ふくろう
男が思い描く男の理想ってどんなだろうか、追いかけたくなる背中ってどんなだろうというところから作ってました。
「昼行燈で飄々としていて、時に苦み走った哀愁漂う背中を見せてくれる、何かをしょい込んで、けどそれを誰にも言わないでただ一人陰で暗躍する」そういうワードで思いつく人物像をつっこみました。
ましろ
猫耳がみたかっただけ。
あとはまぁ、猫だから馬鹿にしとくかみたいな感じです。
くろえ
犬耳がみたかっただけ。
あとはまぁ犬だし、鎖で繋がれて家で主人の帰りを待つとかなんか寂しいよな、みたいな感じを想って書いてました。
しかし、見事に男キャラにばかり力を入れてるな……。
まぁ、このキャラってやつもなかなか曲者でして自分の思っていた方向とはまったく違うあさってに向けて走り出すところがあります。
キャラの名前とか山手線の駅名から適当にとってつけてるのに、それが予期せぬところで物語の核心っぽいところに触れてたりして、運命的なものを感じたりもしました。神は細部に宿る
大久保新之助はどっかのタイミングで急に「大いなる久しきを保ち、新しく之を助ける者」というなんだか壮大な設定が出てくるのですが、これは完全に偶然。
維新前夜という時代背景にしたのも偶然ならキャラ名も偶然、だって新大久保だぜ? それがどこかのタイミングでピースがかちっとはまるようにして出来上がってきて、思いついた時は心底ビビりました。
それと同じように偶然の産物で生まれたのがふくろうの裏設定。ふくろうは池袋からとった名前だったんです。「池ふくろう」ってことね。
この池という苗字から池大納言に繋がってふくろうの設定が追加されました。
ちなみにましろとくろえは目白と目黒から。なんか対比になる物を選んだって感じですね。
【こうしてみると主人公・新之助には結構思い入れがあるんですね】
そうですね。
ただ某ガガガの先輩作家にしてみたらそうでもないみたい。
「あの、なんでしたっけ。主人公の新……新太郎? あの新太郎とふくろうの対決、口絵でネタバレでしたね」
って言われた。
どこの座頭市だよ
【剣術について】
昔、剣道やってたのでその影響が色濃いです。
剣道やり始めた理由は「流浪人剣心」と「燃えよ剣」。小5くらいで2つの作品に出会って「男なら剣だろ、剣」みたいな感じで始めました。
で、一年でやめた。
やっぱ男なら銃だよね、銃!
そんなわけで「あやかしがたり」の剣術については小学生当時のぼくがかんがえたひっさつわざがてんこ盛りです。
でも、剣客小説物は結構読んでたので描写力で結構なカバーがされていると思います。読めるものにはなっているはず。
【全体の構成について】
1巻書き終わった当初は結構長く続けるつもりでした。
全部で7,8巻やれば細部まで全部いけるかなと見積もってたんですが。
無理だった\(^o^)/
1巻の初動を知ったあたりから「これはまじぃや」と思って急きょサクサクとプロット変更。長くても4巻、最短3巻でけりをつける構成にしようと軌道修正しました。
最短の場合、序破急構成を想定して全体を組みなおして三巻まで、で、幸いなことに4巻も行けそうだったので起承転結に近づける形で再構成。
欲を言うなら1巻のあとにもう一つ挟んでから2巻、でふくろうのいない状態でふくろうの影をちらつかせながら因縁編スタートのもう3巻、ふくろうとの対立を明確に描く因縁編中盤のも4、で原稿の3巻にあたる決着編5巻。もう一つ伏線はりつつの6巻を挟んでからオオラスで現行の4巻内容をやって7巻で結末。みたいな?
無理だった\(^o^)/
とはいえ、今の4巻構成でも過不足なく書ききれたので大満足です。
いや、書き続けようと思えばいくらでも書かせてもらえたとは思うのです。でも、やっぱプロなので引き際は自分で判断せにゃならんだろうと。
【4巻は三期では二番目に長いわけですが】
邪神は5巻まで出てるけどね!
実は邪神が大賞だったんじゃないかと未だに疑ってる。
まぁ、ぼくの場合書くのがすっげー遅いってのが長く続いた理由だと思います。
【邪神意識しすぎだろ】
べ、別にあんな奴全然意識してねぇよ!大沼先生に飲み会の幹事任せるとよくわからないおかしな店に連れてかれるし、twitterではすぐに「渡航さんにdisられた!」って言い出すし、書いてる本だってすげー面白くて出るのが楽しみってだけだぜ? あ、あんな奴全然好きじゃねぇよ!!
【まぁ、邪神ですしね】
……おい、お前に大沼先生の何がわかるってんだよ。よく知りもしねぇであの人のこと悪く言ってんじゃねぇよ!
そりゃあ確かにあの人は飲み会の幹事には向いてねぇよ。あの中華料理屋は正直ハズレだったよ。
けどな、大沼先生がギャグに真剣に取り組んでることもいつだって人を楽しませようとする真摯な態度は尊敬してるんだっ!
俺のことはなんて言ってもいい、けど大沼先生のことdisんのはやめろよ!
お、大沼先生をdisっていいのは俺だけなんだからな……。
【4巻、発売日いつでしたっけ?】
11月18日発売です!
発売まであと5日!
予約しないと発行部数の関係で手に入らなくなっちゃうよ!
でも、人気の問題で予約しなくても余裕で買えちゃうよ!
てなわけで、いつも通りの十問十答でございました。
今や巷で話題沸騰! かなり沸いてます! 沸きすぎて作者の頭に虫がわいてるレベル。何それそろそろ死のうかな(;_;)
むしろ、沸騰しすぎで蒸発しきっちゃってもはやまったく話題になってないまである「あやかしがたり4」は11月18日ごろ全国の書店にて発売です!
この機会に1〜3巻もまとめて買って、4巻発売日に一揆読みしましょう! 「金返せ!」的な感じで一揆を起こそうぜ! どちらかというと打ち壊しだよね。
- 作者: 渡航,夏目義徳
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- 発売日: 2009/05/20
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それにしても「あやかしがたり」で貼ろうとすると「その日彼は死なずにすむか」も表示されるのはあれか。そろそろ渡航の死ぬ日も近いよ的な暗喩か
- 作者: 小木君人,植田亮
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あと、邪神もはっとこ
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とにもかくにもあとは発売を待つのみです。
ここまでお付き合いいただいた読者の皆様、本当にありがとうございました。
『あやかしがたり』は読者サービスを徹底した作品です。
ポロリもあるよどころかポロリしかない。
内臓ポロリ、作者の暗い未来に涙がポロリ。
発売まであと5日!
首を洗って待ってます!
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コメントありがとうございます。
何でしょうね。こういうときにかっこいい言葉が言えるといいんですが、そういうのを言おうとするとどうしても過去の偉人のパクリになってしまうので自分なりの言葉を探しますと、
人生とは嫌なものである。ということでしょうか。
頑張っても結果は出ないし、頑張りが足りないのは結局自分のせいだし、いきなり誰かが救ってくれるような劇的な事件なんてありえないし、屁は臭いし、歯茎から血は出るし、腰は痛いし、働くのは辛いし、作家になって一発逆転とか思ったら見事に滑るし、とにかく生きづらくてままならないのが人生なんですが、そのくせ時々すごい嬉しいことや楽しいことが起きるせいで投げ出すには未練がわくし、結局これで生きてくしかないあたりが実にいやなものだなぁと思います。
まあ、基本的にはマゾいので別に嫌いではないです。嫌なことがあってもそれを自虐して笑えるくらいになるとそんなに悪いもんじゃないなぁとそんな感じです。
「べ、別に。嫌いじゃない、ケド……」みたいな感じです。
すいません、難しいことはよくわからないんですがそんな感じだと僕は思ってます。