石井克尚国土交通省岐阜国道事務所長(左)から連結許可書を受け取る堀正町長=安八町役場で
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名神高速道路の安八スマートインターチェンジ(IC)の設置許可が十一日、国土交通省から安八町に出た。しかし、水面下では町が建設に協力を求めてきた地元の中地区住民との駆け引きが続いている。
「とにかく造りたいからってお願いばかりされて、中地区の将来がどうなるのか、青写真がさっぱり見えてこない」
中地区のある住民は、町の設置計画にやや不満そうに話した。
町が設置を決めたのは二〇〇七年だが、当時七割以上の住民が「地元にメリットがない」などと反対し、計画は難航。妥協策として、出入り口の道路を、集落のある南側ではなく、北側に一本化する案を町が提示して計画は前進した。
だが、真っ向から異を唱える住民が少なくなった今も、地元は町との話し合いを続けている。交通量の増加による環境の悪化など、地元住民らにはいまだ懸念がある。周辺道路が子どもの通学路になっているという事情もある。
昨年一月、区の役員会は(1)交通安全対策として、県道安八平田線の歩車分離型道路化をIC建設と並行して進める(2)ICや県道周辺の関連道路に防音壁や遮光板を設置する−など二十三の要望を町に提出した。
町は今年五月、実施の可否や時期などを回答。「名神高架下の通学路などに防犯灯、防犯カメラを設置する」など十九の要望は、一七年三月末を目指す供用開始までに対応することを明言している。一方で、(1)や(2)は「県と調整する」などと保留している。
スマートICができれば、名古屋方面には六分、大阪方面には十二分の時間短縮につながると見込まれており、利便性が向上し、企業誘致なども期待できる。
ただ、長い間地元住民を悩ませてきた問題であることも事実。「要望を全て受け入れてもらわなければ」と回答受諾に難色を示す住民もいる。
坂哲雄区長(72)は「建設自体に反対はしない」とした上で「中地区が他の地区よりも素晴らしくなるようにしたい」と、町も中地区も良くなるのであれば、町への協力は惜しまない−との姿勢だ。
<スマートIC>高速道路のサービスエリア(SA)などに整備する自動料金収受システム(ETC)搭載車専用の出入り口。安八町にはSAがないため、「本線直結型」になる。
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