男子の体力低下顕著 県内小1~高3対象県教委調査
県教委は12日、県内の小学1年から高校3年の児童生徒を対象に東日本大震災後初めて実施した平成24年度の体力・運動能力調査の結果を公表した。男子は女子よりも体力低下が顕著で、小中学生は全学年で全国平均を下回った。県教委は外で活動する機会の多い男子ほど東京電力福島第一原発事故に伴う屋外活動制限の影響を受けたとみている。
50メートル走、ボール投げ、立ち幅とびなど8種目の合計得点の県平均と全国平均の比較は【表1】の通り。男子は小中学生の全学年で、23年度の全国平均を下回った。女子は小学3年から中学3年までが全国平均を下回った。ただ、女子は震災前の22年度の県平均と比べると全体的な低下傾向は見られなかった。
種目別の県平均と全国平均の比較は【表2】の通り。男子の小中学生は握力を除く種目のほとんどが全国平均を下回るか、同程度となっている。
調査結果について、県健康教育課は「本県の児童生徒の体力・運動能力の低下は明らかで、原発事故による屋外活動の減少が影響していることは否定できない」と分析。男子が持久走やボール投げの種目で全国平均を下回っている調査結果は、広い場所で活動できなかったことを裏付けているという。
児童生徒の体力向上などが専門の小川宏福島大人間発達文化学類教授は「運動能力の低下によって運動を好まない生活習慣が身に付いてしまう懸念がある。肥満や病気など健康面で悪影響が生じる恐れがある」と警鐘を鳴らす。家庭や学校で積極的に子どもを運動させる必要性を訴える。
県内では原発事故後、放射線の子どもへの影響を防ぐため、県内各校で一定期間、屋外活動を制限する措置が取られていた。
調査は地域バランスを配慮した上で小学校52校の児童8520人、中学校44校の生徒7050人、高校20校の生徒5700人を対象に24年4月から10月までに実施した。震災・原発事故の影響で相双地区の学校の調査はしていない。調査結果の判定では種目ごとに記録を10点満点に換算し、集計した。中学と高校は持久走とシャトルランのどちらかを選択した。
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