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あす三春で直売所開店 船引の大河原夫妻 風評に負けず農産物など販売

 田村市船引町の農業大河原多津子さん(58)、伸さん(57)夫妻は13日、田村地方の農家や加工業者の商品を扱う直売所「えすぺり」を三春町桜ケ丘三丁目に開く。11日はプレオープンとして関係者を招き、開店に備えた。
 郡山市出身の多津子さんは福島大教育学部在学中に農業に関心を持ち、卒業後に専業農家の伸さんに嫁いだ。2人は約30年前から有機、無農薬農法に取り組み、食の安全に関心の高い県内外の消費者に野菜などを提供してきた。しかし、東京電力福島第一原発事故で生活は一変。放射性物質への懸念で顧客が離れ、売り上げは激減し、主な出荷先だった直売所の客足も遠のいた。
 窮地に陥った2人は「生産者が自信を持って産品を売れる場が欲しい」と昨年秋に一念発起し、自前の直売所の開設を決めた。運営会社「壱から屋」を設立して多津子さんが社長に就き、親族や知人の協力で資金を工面した。
 店名「えすぺり」は「希望する」「期待する」の意味を持つ世界共通語のエスペラント語から取った。
 直売所では田村地方の農家25人と15の加工業者が野菜や果物、総菜、パン、漬物などを出す。商品には生産者名や放射性物質検査の結果、使用肥料などを表示する。店内に売り手と客が交流できる飲食スペースを設けたほか、詰め合わせセットの発送も手掛ける。
 多津子さんは「風評被害に苦しむ農民も食の安全に不信を抱いた消費者も原発事故の被害者。傷ついた者同士がつながり、情報を共有できる場にしたい」と意気込んでいる。
 営業時間は午前11時から午後6時まで。水、木曜日は定休。問い合わせは同店 電話0247(73)8075へ。

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プレオープンを迎えた大河原多津子さん(前列左)と伸さん(同中央)ら
プレオープンを迎えた大河原多津子さん(前列左)と伸さん(同中央)ら

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