再起の心、生徒に熱弁 岳陽中で民報出前スクール
東日本大震災、東京電力福島第一原発事故からの再生に歩みだした県民を講師に招く福島民報社の「ふくしまは負けない」出前スクールは10日、福島市の岳陽中で開かれた。飯舘村でコーヒー店「自家焙煎(ばいせん)珈琲 椏久里(あぐり)」を営み、原発事故で避難した福島市で店を再開した市沢秀耕(しゅうこう)さん(59)が「震災で学んだことを生かしてほしい」と1年生約130人に呼び掛けた。
市沢さんは村職員を経て椏久里を開業し、世界各地を回って豆を選び抜く品質重視の経営で人気店に育てた。原発事故で閉店に追い込まれたが、約2カ月半後に新店オープンを果たし、「多くの人に支えられ、良いコーヒーを求めて学び続けたことが再起につながった」と振り返った。
さまざまな人生の岐路で抱いた思いに触れ、「失敗を恐れずに目指すべき道を進もうと決めた。一度決断すると迷いはなくなる」と強調。実物の豆を示しながら、コーヒーの奥深さも伝えた。半谷夢句さん(13)は「前向きに生き、支え合うことの大切さを学んだ」と感想を述べた。
講演に先立ち、吉田務校長、福島民報社の戸井田淳地域交流室長があいさつ。「民報号」が訪れ、出前スクールの様子を報じる電子号外を作って配った。
出前スクールは子どもたちに「負けない心」を伝える目的で平成24年度にスタートし、今年度は初の開催。福島民報社復興戦略事業の一つで、「読む 知る 学ぶ『E!新聞』プロジェクト」にも位置付けた。問い合わせは地域交流室 電話024(531)4009へ。
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