降圧剤問題:ノバルティスファーマが役員報酬返上
毎日新聞 2013年06月03日 19時08分(最終更新 06月03日 20時15分)
降圧剤バルサルタンの臨床試験問題で、製薬会社ノバルティスファーマ(東京)は3日、二之宮義泰社長と三谷宏幸前社長(最高顧問)ら関係役員計9人の月額報酬を、2カ月間10%ずつカットすると発表した。この薬をPRする医師向け講演会も今月から3カ月間停止する。疑惑が広がる中、全容解明を待たずに反省を形にすることを余儀なくされた格好だ。
「日本の臨床研究の信頼性を揺るがしかねない事態を生じさせたことを深く反省し、心よりおわび申し上げます」などとする謝罪文と共に、自社ホームページで公表した。
社員(既に退職)が、京都府立医大や東京慈恵会医大など5大学で行われた臨床試験でデータの解析などに関わっていたが、社員の関与を伏せたまま、論文を医師向けの宣伝に使ってきた。
同社は社内調査の結果、▽臨床試験の利害関係者が守るべきルールに対する理解不足▽宣伝資材の審査の不備−−が原因と分析。「データの操作や改ざんを示す事実はなかった」と改めて強調した上で、「社会的、道義的責任を果たすために早急に再発防止に取り組む」とした。
再発防止策として、宣伝資材に問題がないかの審査を厳しくするほか、臨床試験への関与など社員の社外活動を記録する内規をつくる。コンプライアンス(法令順守)に関する社員研修を7月1〜5日に実施し、この間、同社の全ての医療用医薬品の宣伝を停止する。【八田浩輔、河内敏康】