東日本大震災:鮫川の焼却減容化施設「勝手に建設工事」 地権者ら、運転差し止め要請 /福島
毎日新聞 2013年07月14日 地方版
環境省が鮫川村で試験運転中の放射性物質に汚染された草木や稲ワラなどの焼却減容化施設について、用地の地権者の1人である会社員、堀川宗則さん(58)が12日、自らが署名押印していない施設設置同意書を基に勝手に建設工事が進められたとして、同省と村に運転の即時差し止めを申し入れた。
施設が建設されたのは同村青生野の元牧場(1600平方メートル)。村によると、昨年5月、堀川さんら地権者18人でつくる青生野協業和牛組合と周辺住民9人から全員の署名押印を添え、「仮置き場」名目での設置を認める同意書が提出された。しかし堀川さんは同意書に署名押印しておらず、有印公文書偽造の疑いがあると指摘。村に文書開示を請求し、偽造が確認された場合には法的措置も検討するとした。
また今年5月、村の案内で地権者のうち16人が結んだ同省との土地の賃貸借契約についても、堀川さんらはサインしていないという。それでも工事は進み、今月4日の試験運転に続き、16日からは汚染廃棄物の焼却処分が予定されている。記者会見した堀川さんらは「住民に施設の仕事をあっせんして賛成させる汚いやり方で、核のごみ捨て場になる恐れがある施設建設を進めた町と国に憤っている」と述べた。
環境省は「施設は焼却が終了すれば撤去する仮設的なもの。民法上、建設にあたって地権者全員の同意は必要ないと考えている」との見解を示した。【中尾卓英】