ロウきゅーぶ! (電撃文庫)
蒼山 サグ
アスキーメディアワークス
売り上げランキング: 46627

世界観

[小学生][バスケ][日常][スポ根][シリアス]

あらすじ

高校入学とともに部長のロリコン疑惑で部活を失った長谷川昴。ただでさえ小学生の話題はタブーなのに気づけばなぜか小学校女子バスケ部コーチに就任って!?「ん?ぱんつなら心配ないよ、ほらっ」「やっぱりっ、でか女なんだわたしっ!」「おにーちゃんの背中が気に入りました」「あの、そ、そろそろご指導の方を―」「いろいろ面白くなってきたわね、ふふ」個性的な少女たち五人の猛烈アピールに振り回されっぱなしながらも、それぞれの想いを守るため昴はついに男を魅せる!小学生の女子だって悩みは多いのです。そんな彼女たちに翻弄されまくっちゃうさわやかローリング・スポコメディ。

短文感想(ネタバレなし)


ロウきゅーぶ!って籠球部、つまりはバスケットボールのことなのね。
てか、表紙絵とタイトルからして、内容が全く想像できないラノベも珍しい。

ロウきゅーぶ!のロウって、lowだと思って、ロリコン恋愛ものだと思った。
てか、てぃんくる氏をこの作者と組み合わせるのが信じられない。

せっかくの熱血スポ根モノで、熱い展開に胸がわくわくするのに、
あらすじと、てぃんくる氏の絵のせいで、萌えラブコメにしかみえないのが惜しい。

この作品に萌えは少しだけあるかもしれないけど、ラブとコメディはありません。
むしろ、コメディとしては、文章が堅苦しいので、全然笑えない。
てか、ふりがなが大すぎだけど、気にしないで、すいすい読めるのがすごい。

まあ、てぃんくる氏の絵を見て、買ってしまった人は、なんだこれ状態だと思う。
だけど、内容も読んでみると、意外と悪くないな、とか思うんだろうな。

てか、せっかくのスポーツものなのに、てぃんくる氏の挿絵は全くスポーツしてない。
本当、萌えを全面に押し出して、かわいい姿だけを切り取ったような感じ。

バスケをやっているシーンでも、動きのない絵を入れてくるので、
場違い感がすごい。読んでいるイメージとキャラのイメージが全然想像できない。
むしろ、挿絵はいらないんじゃないかとさえ、思い始める。

それくらいに内容が良く、最初のイメージのふわふわぽかーんって感じではなく、
一生懸命スポーツに打ち込む彼女らの真摯な姿に心打たれて、
ページをめくるたびに興奮してくる。(いや、性的な意味ではないですよw)

最初の1/3くらいは、ほとんど設定や前置きに終始していて、全然面白くない。
読むのをやめようかと思ったくらいに、ダラダラと主人公の苦悩と日常が続く。

まあ、それに反比例するかのように、ストーリーが進みだすと、止まらない。
最初の稚拙なシナリオが生きてきて、緻密なストーリーへと変化する。

スポーツものって、作者がその競技についての理解がなく、
ただの付随物的なテーマとなっていたら、作者のほんの遊びにしか過ぎない。

だけど、この作者はバスケの面白さを知っている。
そして、伝え方も…。そこにテクニックとかの表現を全面に出すのではなく、
心情描写を大事にした。それぐらいにスポーツというのは精神面が大事。

かといって、ただのスポ根で終わってしまうのではなく、戦略を立てたり、
精神面でのフォローがあったり、今までの伏線を利用したりする。

その上手さが光って、最後まで楽しんで読むことが出来た。
これは次巻も読みたいって思えてくるくらいにオススメ作品になりましたね。