名古屋−鳥栖 後半、チーム3点目のゴールを決める名古屋・藤本(手前)=瑞穂陸上競技場で(今泉慶太撮影)
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名古屋グランパスは2−2から藤本淳吾(29)が決勝ゴール。3−2で鳥栖を振り切り、連敗を阻止した。勝ち点は18で順位はひとつ上がって12位となった。FC東京は13日、アウェーで新潟に3−0で快勝し、リーグ戦4試合ぶりの白星を手にした。
藤本は目の前のボールに必死で体を投げ出した。「クリアだけはさせちゃいけない。何とか味方につなぎたい」。鳥栖のDF丹羽がクリアしようと振り上げた足より一瞬早く、ダイビングヘッド。執念を乗せたボールはフワリとネットへ飛び込んだ。
乱戦にピリオドを打つ後半36分の決勝ゴール。わき起こるサポーターの大歓声を、藤本はけられた胸を押さえながら地面に突っ伏して聞いた。「ヘディングでのゴールはプロでは初めてだと思います」。J通算44点目にしてヘッド弾は「初めて」だった。
これまでのゴールは、ほとんどが左足から生まれてきた。キックの多彩さ、精度は群を抜く。一方で藤本は課題も自覚している。「もっと相手の嫌がるところに入っていかないと」。プラスアルファとして、がむしゃらにゴール前へ突っ込む泥くささを求めている。
格好のお手本もいる。日本代表FW・岡崎慎司(独・マインツ)だ。清水時代はともに前線で攻撃を引っ張った間柄だ。「自分にはアイツにないものもあるけど、アイツを見習わないといけない部分がある」。ポジションも年齢も似通っている岡崎の活躍に刺激を受けている。
鳥栖戦では極上のテクニックも見せた。前半12分に左足のアウトサイドでケネディにラストパスを送り、先制点をお膳立て。勝利を呼んだ1得点1アシストには、技術と闘志の両方が詰まっていた。
「鳥栖戦と次の大分戦には勝てば(残留争いから)抜け出せる。きょう勝って一つミッションをクリアできた」。藤本の新境地を開拓するダイビングヘッドが、瀬戸際のグランパスを一歩前進させた。 (木村尚公)
◆ケネディ、復調気配ゴール
ケネディが5月25日のC大阪戦以来となる今季4得点目を挙げた。前半12分、阿部、闘莉王、藤本ときれいに鮮やかにボールを、右足ダイレクトでけり込んだ。「いいコンビネーションからゴールを決められた」と手応え十分。まだまだ競り合いでは迫力を欠くものの、徐々に運動量が上がってきており、復調気配が漂ってきた。
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