◇ヤクルト8−3広島
ヤクルトの新人の小川が8回途中3失点でリーグ最速の10勝目。打線は0−1の1回に上田のプロ初本塁打とバレンティンのソロで逆転。2回はバレンティンが自己最多に並ぶ31号の満塁本塁打を放った。広島は4位に転落。
クールなライアンが真夏の神宮をヒートアップさせた。ヤクルトの小川はプロ初勝利と初完投初完封を挙げたお得意さまの広島戦で、ルーキー最速の10勝目。セ・リーグで新人が最初に2桁勝利に到達するのは、1999年の巨人・上原浩治(現レッドソックス)以来だ。
ヤクルトでは2004年に新人王を獲得した川島亮以来となる、プロ1年目の10勝。オールスター前の到達は1959年、北川芳男以来54年ぶり2人目の快挙。「こんなに早くとは予想していなかった。一試合一試合、全力を尽くしてきた結果。単純にうれしい」と素直に喜んだ。
序盤は球が高めに浮きがちで1回に連打で先制点を許した。だがベンチで捕手の新田から「体が倒れるのが早い」と指摘され「左にカベをつくって、打者から球の出どころが見えづらくなるようなフォームにした」という。3回から7回までは5イニングで1安打と、修正能力の高さをみせた。
黄金ルーキーの活躍で連勝。勝率2厘差で5位のままだが、4位広島とのゲーム差はゼロになった。小川の次回登板は初出場のオールスター戦。「ペナントレースが大事なので、気持ちを抜きすぎず、いろんな選手を見てレベルアップしたい」と、夢舞台にも浮かれてはいない。
6月15日以来、登板5試合連続で7イニング以上投げ5連勝。そんな右腕は試合2日後にカルボナーラとピザなど、炭水化物を多く含んだ食品を摂取。エネルギーを効率よく生み出すグリコーゲンの蓄積に努めている。連日35度前後の猛暑が続いているが、登板前3日間は大好きなビールも封印。体調管理は万全だ。
「きょうはおいしいビールが飲めそう」。10勝目は格別な味のはずだ。(竹村和佳子)
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