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小説で朝食を!

◆小説で朝食を!

タイトルは、言わずと知れたトルーマン・カポーティーの名作「ティファニーで朝食を」のもじり。

今日のテーマは、小説における食欲です。

人間の三大欲(性欲、睡眠欲、食欲)を使うと、小説は断然魅力的になる(と私は信じている)。

何度も言及して申し訳ないが、村上春樹などは三大欲を実に上手く使っている作家だと思う。

世界中の読者が、村上春樹の小説を読むとコーヒーが飲みたくなり、サンドイッチが食べたくなると言っているぐらいだから、食欲の使い方においてかなりの腕前であると言えよう。
(食欲に限らずかっ!)

最近、紙媒体の商業小説を読みまくっているのだが、坂東眞砂子の「狗神」を読みかえしてみた。

この小説、実に私好みの小説である。

「こういう小説が書きたい!」と、思わずため息が出てしまうような作品なのだ。

しかし、一か所だけ非常に違和感をおぼえる箇所があった。

母親、兄夫婦と同居のヒロイン(高知県の田舎に在住)が、朝食に野菜炒めをつくるシーンが出てくるのだが、非常に驚いた。

我が家には、朝ごはんに野菜炒めを食べる習慣がないからである。

もちろん、米食だろう。

恐らくは、ご飯、味噌汁、野菜炒めというようなメニューなのだろうが、けっこうショックだった。

もちろん、朝食にだって地域性はあるだろうし、何を食べるかは家庭によって様々なはず。

郷土文化として読めば興味深いが、正直に言ってあまり食欲をそそられないシーンであった。

小説を多くの人に読んでもらう秘訣として、できるだけ沢山の人の共感を呼ぶ仕掛けというのは大事だと思うが、私は野菜炒めに共感できなかったし、食欲もそそられなかった。

やはり、村上春樹は上手いな…とも感じた。

パスタやビールは、世界中の誰もが容易に想像できる飲食物だし、多くの国の人に違和感をおぼえさせないアイテムだからだ。

できることなら、私も上手に読者の食欲を刺激したい…と思っています。

「ティファニーで朝食を」は大昔に読んだが、ヒロインが開店前のティファニー前で何を食べていたか、まったく記憶にない。

もしドーナツだったら、世界中の多くの人が美味しそうだと感じるだろう。

しかし、ブリトーだったら、多くの人がどんな食べ物か想像できないはず。

ちなみに私は、小説では何度も見かけていたけれど、短期間とはいえアメリカで暮らすまで、ブリトーがどんなものか知りませんでした。

感想はと言うと、美味しい店のブリトーは非常に美味しいけれど、コンビニで売っているようなのは全然ダメ!という感じでしょうか。

更新日:2013-07-13 12:44:26