「関与の元社員と連絡取れず」7月12日 20時10分
大手製薬会社ノバルティスファーマの高血圧の薬の臨床研究に、この会社の当時の社員が関与し、データが操作された疑いが出ている問題で、複数の大学の調査委員会が、社員への聞き取りを求めたところ、会社は「すでに退職していて連絡が取れない」などと答え、真相解明に向けた調査が行えなくなっていることが分かりました。
この問題は、ノバルティスファーマが販売する高血圧の治療薬「ディオバン」の効果を調べた京都府立医科大学の臨床研究に、この会社の当時の社員が関与し、データが操作された疑いが出ているもので、大学の調査委員会は、12日、ほかの薬より脳卒中や狭心症を減らせるとした臨床研究の結果には誤りがあった可能性が高いとする調査結果を発表しました。
この問題を巡り、京都府立医科大学や論文に肩書として名前が出た大阪市立大学の調査委員会は社員に直接、聞き取りをしたいとノバルティスファーマに求めましたが、大学によりますと会社側は「すでに退職していて連絡が取れない」などと答え、真相解明に向けた調査が行えなくなっていることが分かりました。
これについてノバルティスファーマは、「元社員とは連絡を取ったが、調査を拒否していて会わせることができない状態だ」と話しています。
臨床研究を巡る問題に詳しい、臨床研究適正評価教育機構の桑島巖理事長は、「実態の解明には元社員への聞き取りは不可欠だ。会社はみずから詳しい調査を行い早急に実態を明らかにすべきだ」と話しています。
元社員は非常勤講師
大手製薬会社「ノバルティスファーマ」の高血圧の薬の効果を調べた臨床研究を巡る問題では、この会社の元社員が、兼務していた大阪市立大学の非常勤講師という肩書きで、論文の執筆者に名前を連ねていたことが明らかになっています。
これを受けて大阪市立大学は、ことし5月に調査委員会を立ち上げ、大学が非常勤講師に委嘱した経緯や、大阪市立大学の肩書きを使って論文作成に参加した理由などを調べてきました。
大学によりますと、大学はこの元社員を、平成14年からことし3月までの11年間、非常勤講師に委嘱していたということです。
元社員は統計の解析に詳しく、大学では、研究を行う際に助言を求めるため毎年契約を更新してきましたが、給与は出ておらず、実際に講義を行ったのは11年間で1回だけで、勤務実態はほとんどなかったということです。
また、大学は、論文への関わりについて詳しい話を聞くため、5月以降、電話やメール、それに郵送で元社員に連絡を取ろうとしていますが、連絡が取れない状態が続いているということです。
さらに、「ノバルティスファーマ」に連絡しても、すでに退職して連絡が取れないと回答されているということです。
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