三段目2
「逮捕された人の支援はうまく行ってますか?」
「いや~(沈黙)」
前回述べた未成年カップルの対応について、ほっとプラスの藤田孝典氏の意見を参考にしました。藤田氏は、小生がホームレス支援を始めるに当たって見本にしたほっとポットの設立者です。彼によれば「虐待というケースで認められたことはある」とのことでした。藤田氏は以前ほっとポットという団体でホームレス支援をやっていましたが、今は違う団体を作っています。そこで反貧困さいたまの弁護士達と協力して、逮捕された人達が出所した後の世話などをやっています。冒頭の会話は未成年カップルのついでに彼に質問したやりとりです。
ほっとプラスは、逮捕された人が処分保留・起訴猶予で出てくる人、起訴されたが執行猶予判決で出てくる人、あるいは実刑の刑期を終えて出てくる人、そういう人達の対応をやっています。これは刑事弁護専門にやっている弁護士と連携しており、容疑者・被告・受刑者がより有利な形で社会復帰できるための対応になっています。
しかし「仏の心」シリーズでも分かる通り、簡単に更正・社会復帰がなされるものでもありません。藤田氏の沈黙は、彼と弁護士の善意が、思った程結果に結びついていないことを仄めかしていたのかも知れません。
小生の結論を先に述べる。堕落した人が、甘い対応だけで立ち直るケースは少ないです。カルマが悪ければ、それなりに苦しい目をしてもらう以外選択はありません。逆にどうしようもない位苦しめば、そこから逆転する可能性が芽生えます。悪極まりて善となる、陰陽転換。この三段目氏にもそれなりの対応をするしかないと考えています。
19才カップルは、結局やぶ蛇で親が出てくるかも知れない選択肢は取らずに、再度ホームレス生活に戻りました。その入れ替わりで三段目氏がルームシェア物件の空き部屋に来ることになりました。この部屋は、この「◆使い込み」で前の居住者がいなくなった所です。
小生の所に来るのを梯子を外された三段目氏は、その直後に江戸川区の保護課に申請に行ったようです。ところが1人で申請に行ったとしても、そこで紹介されるのはいわゆる「無料低額宿泊所」か「更正施設」。どちらにしても本人が手に出来るお金は、月額にして1~2万円程度。彼の場合は更正施設だったらしいです。この場合は直接施設にお金が支払われるので、本人には一日当たり300円程度しか渡りません。彼曰く
「役所の窓口に行くと、担当者が『更正施設に入れ、入れ』ってすごくうるさく言ってきたんです。それで仕方なく『施設に入ります』と言った途端、担当者がニンマリと凄く嬉しそうな顔をして対応がガラッと変わった。それがもの凄く腹が立った。」
詳しい説明は省きますが、役所の窓口では、対象者を施設に入れることができれば評価が上がります。それでもこの江戸川区の対応はまだマシな方です。
「住民登録をしているところでなければ、保護申請はできない」
「あなたが働けないという証明を医者がしなければ、保護申請は受け付けられない」
「自分で契約した住居に住んでいるのでなければ、保護申請は出来ない」
全てウソなのですが、このような屁理屈を並べて申請を諦めさせようとします。いわゆる水際作戦です。中にはホームレスだと分かると、窓口に行っても、意図的に誰も対応しない酷い役所もあるのです。ホームレスは役所の福祉課カウンターの前で突っ立ったまま、シカト・放置されたままになります。
話を戻します。彼は江戸川区役所経由で更正施設に入りました。その後、こちらの未成年カップルが退去した後、空いたルームシェア物件に来て、翌日さいたま市の区役所に申請に赴きました。それが6/24の月曜日です。
生活保護申請をするに当たっては、前に更正施設で受けていた保護を廃止する必要があります。彼は更正施設を出るに当たって、江戸川区の担当者に連絡して、「保護を廃止してくれ」と頼んだらしいです。これが6/21の金曜日のことです。
ところがこの江戸川区の申請~廃止の手続きが、さいたま市での申請に引っかかりました。さいたま市で申請しようとしたところ、「江戸川区で廃止になっていない」というのが判明。前の保護が廃止されていなければ、新たに申請することはできません。
(つづく)
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