レストラン事業投資:「詐欺被害」相談136件総額4億円
毎日新聞 2013年07月02日 03時00分
東京・豊島区の会社のレストラン事業などへの投資を巡り「金をだまし取られた」などの相談が、全国の消費生活センターに昨年7月以降計136件寄せられていることが国民生活センターへの取材で分かった。被害相談の総額は計約4億3000万円に上る。計1700万円をだまし取られたという熊本県山都(やまと)町の無職女性(87)は、この会社を相手に損害賠償を求める訴訟を熊本地裁に起こし、熊本県警にも被害届を出した。
会社のパンフレットによると、この会社は飲食業や投資ファンドを展開。国民生活センターによると、相談は九州や北海道などから寄せられており、内容は主に2種類。
一つは、同社のパンフレットが届き、その後、同社への出資を考えているという人物が「この会社はレストラン事業を展開している」などと紹介し、理由をつけて自分の代わりに出資してほしいと持ちかける。もう一つは「過去に投資詐欺で損をしている人は被害を回復できる」と同社のファンドへの出資を電話で持ちかける。
提訴した山都町の女性には昨年7月ごろ、パンフレットが届き、しばらくして「みつい」と名乗る人物から「出資したいがパンフレットの名宛人しか申し込みできない。代わりに申し込んでほしい」と電話があった。
出資は1口10万円で1口20万円で買い取るなどと誘われて信用してしまい、昨年夏ごろ数回に分けて計1500万円を同社に郵送した。更に別人物からも電話で出資を求められ200万円を郵送したという。
女性は年金暮らし。約40年間、大手通信会社で勤めて得た蓄えの大半を失った。「年寄りから金を巻き上げて……。とにかくお金を返してほしい」と話した。
同社のパンフレットに記載された電話番号は現在不通。同社の代表取締役の代理人は取材に対し「(代表取締役は)脳梗塞(こうそく)を患っていた。ある人物に頼まれ名義を貸したと話している」と関与を否定している。【志村一也】