ロンドン五輪女子バレー銅メダルの大友愛さんの場合。
だがすぐに、安藤選手に対しての、人権を冒涜するようなバッシングが始まる。すべての記事をチェックしたわけではないが、あまりにも男性優位社会を絵に描いたような論点にめまいがしそうになった。
母の強さをナメちゃいけない。
安藤選手と同じシングルマザーで、ロンドン五輪女子バレーボールで銅メダル獲得に貢献した大友愛さんの逞しさを、私は度々垣間見てきた。独身時代は自分のパフォーマンスにしか興味がなかった彼女が、母になったことで、影になってチームを支え、試合では自分が囮になって他の選手のアタックを生かした。母になると女性アスリートはこうも変わるのかとびっくりした。彼女は笑いながら言った。
「子供って全く大人の思い通りにはならない。子育てに比べたら他人への気遣いなんて簡単。母は、子供の仕草や態度で意思を読み取らなきゃならないですから」
しかも彼女は復帰4カ月でコートに立った。そのトレーニングの過酷さは見ているのが辛いほどだったが、さらりと語った。
「母親になると、トレーニングの苦しさやライバルとの葛藤なんて、とても小さなことに思えてくるんです。競技に集中するその濃さが、独身時代とは比べ物にならない」
メディアがどんな報道をしようが、安藤選手の強さにはかなわない。
安藤選手も同じ想いでいるに違いない。母になったことで、雑音が耳に入らなくなり、エネルギーを注ぐのは競技と子育てのみ。彼女に対しメディアがどんなに面白おかしく報道しようが、覚悟を持って復帰を決めた以上、鉄の胃袋で飲み込み、それを栄養にしてしまうほどの強さを身につけているはずだ。
全日本に選ばれた大友さんは、海外遠征続きで子供に会えないことが悩みの種だった。だがある日、娘にこう言われたという。
「バレーをやっているママが好き」
この春小学校に入学した娘の将来の夢は、バレー選手。たとえ毎日接していなくても、子供はママの生き方をちゃんと見ているのだ。
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