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ここに注目! 「変わる"振り込め詐欺"にご注意!」2013年05月10日 (金)
渥美 哲 解説委員
(リード)「ここに注目!」です。警視庁が募集していた「振り込め詐欺」の新しい呼び名が、あさって(12日)決まります。渥美解説委員に聞きます。
Q:なぜ新しい呼び名を募集したのでしょうか?
A:「振り込め詐欺」は、最近、金を「振り込ませる」のではなく、「直接受け取る」という手口が増えていて、今の呼び名が被害の実態にあわなくなっているからなのです。
「振り込め詐欺」は、10年前に被害が始まり、最初は「オレオレ詐欺」が急増しました。「オレだよ、オレ」と言って、息子や孫を装って電話をかけ、「会社の金をなくしたので、至急金がいる」などとあわてさせて、現金をだまし取るものです。
さらに、「架空請求詐欺」や「融資保証金詐欺」など、次々に新しい手口があらわれました。
いずれも、金を口座に振り込ませる点が共通していたため、9年前、警察庁が、全体の総称として、「振り込め詐欺」と名付けたのです。
その後、振り込みをする金融機関での警戒が強化されたりしたため、被害が減っていましたが、3年ほど前から、直接、金を受け取る「手渡し型」が急増し、被害額が再び増えているのです。
「振り込め詐欺」の多くを占める「オレオレ詐欺」の場合、最近では、7割が手渡しをして、被害にあっています。
Q:電話をかける人とは別の人が取りに来るということなのですね?
A:そうです。「オレオレ詐欺」の場合ですと、息子や孫を装って電話をした男が、知り合いや同僚が取りに行くなどと言って、信用させます。
手渡しなので、ATMのような振り込みの限度額がないため被害額が増え、多い人は4000万円以上、平均でも500万円近くがだまし取られています。
Q:「振り込め詐欺」という呼び名が実態にあわなくなっているということですが、警視庁が募集した結果、どんな応募がありましたか?
A:郵送やツイッターで1万4000件の応募がありました。
たとえば、「お母さん助けて詐欺」や「親心利用詐欺」、「泣きつき詐欺」などがありました。
警視庁は、最優秀作品など3つを選んであさって発表し、新しい呼び名をチラシや防犯キャンペーンなどで使うことにしています。
Q:新しい呼び名をつけることで、効果は期待できるでしょうか?
A:お年寄りなどが実際に被害にあいそうになったときに、「これがそうか」と、注意できるような呼び名にして、被害の防止につながることが期待されます。
ただ、詐欺の手口はどんどん変わっていて、「振り込め詐欺」などもさらに多様化しています。
呼び名で全てを言いあらわすのは難しく、一人ひとりが、「自分もだまされるかもしれない」と、あらためて認識していただくことが重要です。
その上で、留守番電話にしておいて、そもそも知っている人以外は電話に出ないことや、お金を出すことについては電話だけで決めないこと。
また、自分だけで判断せずに、必ず周囲の人に相談するなど、基本的なことを徹底していただくことが大事だと思います。