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社説

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2013参院選 アジア外交 日中韓連携の具体策を(7月13日)

 北東アジアで日本が孤立してしまうのではないか。

 領土や安倍晋三首相の歴史認識をめぐる発言で日本と中韓両国の対立が長引く中、多くの国民がそんな危惧を強めている。

 中国とは首脳はもとより外相レベルなどでも対話できない状態だ。韓国とは9カ月ぶりに外相会談が行われたが首脳会談のめどは立たない。

 経済では相互依存が進み、重要な貿易パートナーである中韓両国との関係がこじれたままでは、経済面だけでなく安全保障面などでも大きなマイナスだ。

 関係をどう改善、再構築するか。各党は具体的方策を示すべきだ。

 安倍首相は尖閣諸島問題で緊張関係が続く中国に対し「日本のドアは常に開いている」とし、戦略的互恵関係の原点に戻るよう訴えている。

 だが歴史認識をめぐる発言で対話のドアを閉ざしたのは首相だ。「村山談話」継承を積極的に表明するなどの行動がなければ説得力を欠く。

 自民党公約は「日米同盟を強化しつつ中国、韓国との関係発展に努める」とした。要は米国の力を借りて問題を解決しようということだ。これでは主体的な外交とはいえまい。

 民主党は「東シナ海を『平和、友好、協力の海』とするため日中間の意思疎通を図る」とした。

 そもそも日中関係がこれだけこじれたのは、民主党政権が昨年9月、尖閣諸島を国有化したのがきっかけだ。責任感を持って解決策を示すべきだ。頬かむりは許されない。

 他党も表現はそれぞれ異なるが中韓との関係改善やアジア諸国との友好・協力などを掲げている。しかし、どう実現するかの議論は低調だ。

 東シナ海では、中国が日中中間線付近で新たなガス田採掘関連施設の建設に着手した。日中対立はさらに先鋭化する恐れがある。

 かつては中国や韓国の要人に太いパイプを持つ議員が自民党を中心に多数おり、政府間で問題が起きれば解決に動いた。衰退した議員外交の再構築や民間レベルでの交流活性化など具体的行動を急ぐ必要がある。

 参院選後、すぐに直面する問題もある。終戦記念日や靖国神社の秋季例大祭での首相や閣僚の靖国参拝だ。強行すれば中韓との関係は一層、悪化するのは間違いない。

 首相は集団的自衛権の行使容認に意欲を示しているが、これに踏み切れば中韓のみならずアジア諸国の強い反発を招くだろう。

 アジア全体の安定と繁栄には、日中韓3国が緊密な協力関係を保つことが不可欠だ。そのためにはどんなアジア外交を展開すべきなのか。各党に問われるのはその点だ。

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