立ち合いで勢(右)と激しく当たる千代大龍=愛知県体育館で(加藤晃撮影)
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◇名古屋場所<6日目>
(12日・愛知県体育館)
横綱白鵬(28)=宮城野=は小結松鳳山を突き落とし、6戦全勝とした。琴奨菊、琴欧洲の両大関、平幕の魁聖が初黒星を喫し、白鵬が早くも単独トップに立った。琴奨菊は安美錦の変化に屈し、琴欧洲は高安と取り直しの末にはたき込まれた。
横綱日馬富士は栃煌山を上手投げで転がして1敗をキープ。平幕の千代大龍(24)=九重=も勢をおしだしで破り1敗を守った。
綱とりが厳しくなった大関稀勢の里(27)=鳴戸=は臥牙丸を突き落とし、大関鶴竜とともに4勝目を挙げた。
パパの自覚が千代大龍の背中を押す。左からかち上げると、止まらず前へ。勢を一直線に押し出した。
稀勢の里を送り出した5日目の勢いはさらに増し、「一発で持っていけました。手も伸びたし足も出た」と笑みを浮かべた。
福岡県太宰府市出身の角野智香さん(28)との婚約を発表したのは名古屋場所前の6月。来年1月下旬には第一子も誕生する。婚姻届は名古屋場所後に智香さんを師匠の九重親方(元横綱千代の富士)に紹介してから提出すると決めている。
問題は披露宴。部屋は十両昇進や新入幕などおめでた続きで、パーティーの予定がずらりと入っている。
師匠は「三役に上がらないと披露宴はやらないぞって言ってある。少しでも発奮材料になるかと思ってね。よき伴侶を得て、子供ができて、やる気も出るだろう。幸せにするには頑張ることだと言ってある」と、三役昇進を披露宴開催の条件に上げた。
「4Dの超音波写真を送ってもらいました」と誕生を心待ちにする千代大龍は、はっぱをかけられるとさらに力を発揮する。稀勢の里戦では師匠の「勝てば10万円」のニンジン作戦を見事にゲット。生まれてくる子供のためにも、「三役昇進で披露宴」を勝ち取るつもりだ。
7日目に初の結びで取る白鵬戦に勝てば、三役に大きく前進する。春場所は6日目にすくい投げで敗れた上に、左足を骨折して休場に追い込まれた。
「けがは自分が悪いんで。あしたはかち上げて思い切ってやる。まわしを取られたらゲームオーバーなんで。距離を保って突いていきたい。楽しみです」。場所前は四股とてっぽうを毎日500回。出稽古に行くときには起床を1時間半も早め、午前6時からこなして出かけたのも自覚の表れだ。
師匠も「以前とは違うね。立ち合いの一発があるから怖い存在」。白鵬の連勝を36で止められるか。結果を楽しみに待っている。 (岸本隆)
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