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【コラム 撃戦記】

「貧しくて学べない」子どもたち

2013年7月13日

 貧困による子どもの教育が社会問題になっている。戦後の仕事や食料に苦労した時代、生活保護制度があることを知っていても、貧しさをプラス思考にして、頼らない者が多かった。今は当時の団塊世代が経験した貧困と違い、生活苦は精神までむしばんでいる。

 子どもや青少年は日本の将来を背負う大切な人材。貧富の差で教育を受けたりスポーツを楽しむことに差が出るのは不幸なことだ。経済成長期に「貧乏人は麦を食え」が流行語になったが「貧乏人は学問をするな」では困る。

 わが家は終戦を前に山梨県に疎開。その疎開先で生まれた私も、貧乏を経験した世代だ。そのころは職業になるスポーツは野球や大相撲、ボクシングくらいなもの。プロレスは戦後、サッカーは最近のこと。スポーツの職業意識が強くなったのは五輪人気でアマの規制緩和が進み、プロ化が影響したことによる。それまでスポーツは体力と精神を社会で生かすのが主目的だった。だから、アスリートの「引き際」という言葉は職業意識の定着とともに死語になっている。

 35年前に「習いたいと思った時が習う時」を趣旨に、無料の空手道場を始めた。夢は自己満足の域を出なかったが、貧困ゆえに学べない子どもがいる現実に驚いた。子どもたちが自由に学び鍛える環境づくりこそが真の青少年の育成だと思っている。 (格闘技評論家)

 

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