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薬の効果偽装―教訓導く徹底調査を

不正に効能がうたわれた薬を飲むのは納得がいかない。京都府立医大が手がけた高血圧治療薬の臨床研究で、効能のデータが改ざんされていたことが明らかになった。[記事全文]

原発政策―自民党は「現実」を見よ

原発再稼働の是非を聞かれれば「反対」と答える人が多い。今月8日には新しい規制基準が施行され、3・11後の原発政策は新たな局面を迎えた。なのに、参院選で原発をめぐる論戦は[記事全文]

薬の効果偽装―教訓導く徹底調査を

 不正に効能がうたわれた薬を飲むのは納得がいかない。

 京都府立医大が手がけた高血圧治療薬の臨床研究で、効能のデータが改ざんされていたことが明らかになった。

 だれが、どう操作し、なぜ見のがされたのか。この研究にたずさわった製薬大手ノバルティスの社員の関与が疑われているが、大学の調査では核心がなぞのままだ。不正の全容を解明しなければならない。

 この薬の名はディオバンといい、国内売り上げが年間1千億円を超える人気薬だった。

 問題の研究は、この薬が認可を受けて一般に使われるようになったあとに、府立医大病院などで高血圧患者約3千人を対象に行われた。

 「別の高血圧薬にくらべて、脳卒中や狭心症などの発生リスクが半減した」などとする論文6本が立て続けに発表され、医師向けの宣伝に使われた。

 だが、その後、「データが不自然」と疑問が噴出した。研究の中心だった教授は今年2月に釈明しないまま辞職し、論文はすべて撤回された。

 焦点の社員は論文にも登場しており、データの統計解析や研究の事務局役を担っていた。この会社から教授には、1億円以上の奨学寄付金が渡っていた。

 大学側がデータをカルテと突きあわせると、実際にはなかった脳卒中の減少などの効果が表れるようにデータが操作されていたことが確認された。

 同様の研究は、東京慈恵会医大、滋賀医大、千葉大、名古屋大も行い、同じ社員がかかわっていた。社員はすでに退社したが、ノバルティスには重い説明責任がある。各大学も早急に本格調査せねばならない。

 薬の認可を目的とした臨床試験(治験)にくらべ、副次効果などを調べる臨床研究は規制がずっと甘い。今回の不正は、これまで手つかずだった制度的な問題点をあぶり出した。

 製薬会社の関与、奨学寄付金のあり方、大学や病院の責任、文部科学省や厚生労働省の役割はどうあるべきか。臨床研究から不正を締め出すための教訓を導くためにも、今回の問題の徹底調査が欠かせない。

 近年の学術論文の数を分析すると、日本は基礎医学では世界トップレベルなのに、臨床医学はここ10年ほど低落が著しい。研究資金の出所を明示するなど海外では常識のルールが徹底されておらず、質の高い研究が少ないとも指摘されている。

 安倍政権は医療を成長分野としている。学会と協力して制度の改善に取り組んでほしい。

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原発政策―自民党は「現実」を見よ

 原発再稼働の是非を聞かれれば「反対」と答える人が多い。今月8日には新しい規制基準が施行され、3・11後の原発政策は新たな局面を迎えた。

 なのに、参院選で原発をめぐる論戦はいまひとつ盛り上がりを欠く。なぜか。原因のひとつは、優勢が伝えられる自民党が巧みに争点化を避けていることにあるのではないか。

 安倍首相は再稼働に意欲を示す一方で、「原発の比率を下げていくのは基本的な方針」とも語ってみせる。

 とりわけアベノミクスの推進を前面に押し出す戦術だ。有権者の一番の関心が景気と雇用にあることから、原発についても経済浮揚に欠かせないインフラだと位置づける。

 エアコンに頼りがちな猛暑の夏、「原発は安くて安定した電源」との説明は、電力不足や電気料金が心配な人々へのアピールなのだろう。

 だが、「安くて安定」はもはや色あせた言い回しだ。脱原発を訴える野党は、その矛盾をあぶりださなければならない。

 新しい基準によって、原発の再稼働には多額の安全投資が必要になった。廃炉にしなければならない原発も出てくる。

 もちろん、火力発電などで代替していけば目先の燃料費負担が増えるのは事実だ。

 しかし、原発は使用済み燃料や放射性廃棄物について、処分の方法や場所のめども立っていない。これら先送りしたコストや事故の際の損害賠償を考えれば、原発の経済的な優位性はすでに崩れている。

 「安定」神話も幻だ。放射能汚染の恐ろしさや電力会社の隠蔽(いんぺい)体質を目の当たりにして、日本人は原発の運転に極めて慎重になった。今後は小さなトラブルにも徹底検証を求めていくだろう。

 原発は長期にわたり停止しかねない。1基の不具合をきっかけに全基を止めて再点検、という事例も増える。諸外国に比べてただでさえ低い原発の稼働率は、さらに下がる。原発はますます不安定な電源になった。

 脱原発が非現実的なのではなく、3・11以前には戻れないことこそが現実である。

 そうである以上、原発を減らすための政策を総合的に進めることが政権党のつとめだ。

 代替電源の確保と省エネ化を進め、廃棄物処分など後始末の問題や立地自治体の支援に取り組む。当面の国民負担を最小化する策を講じる。やるべきことは山ほどある。

 求められるのは現実を直視する政治である。

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