バルサルタン:臨床試験疑惑 現場医師ら憤慨「患者の信頼失う」

毎日新聞 2013年07月12日 東京夕刊

 降圧剤バルサルタンの臨床試験疑惑で、京都府立医大が11日に論文不正を認めたことの影響は大きい。医療現場で高血圧治療に当たる医師からは「患者からの信頼をなくし、治療に悪影響が出かねない」と懸念する声が上がり、府立医大病院の患者らには失望や戸惑いが広がった。

 高血圧治療に当たるナビタスクリニック立川(東京)の久住英二院長(40)は「患者の医師への信頼を失わせる重大な問題だ。高血圧治療を『信じられない』と勝手にやめてしまう患者が出てくる恐れがあり、高血圧治療の普及が妨げられかねない」と憤慨する。

 NPO法人「臨床研究適正評価教育機構」の桑島巌理事長は「バルサルタンの問題が明らかになってから、日本の臨床研究は受け付けないという海外の学術誌が出始めている。今回の論文不正発覚で、日本の研究への不信感が広がり、さらに悪影響が出るだろう。実に悪質で、許し難い行為だ」と指摘した。

 府立医大病院は5月に「ノバルティスファーマとの癒着を疑われかねない」と、ノ社の医薬品を原則取引停止にすると発表したが、桑島理事長は「試験は、大学とノ社双方の思惑から始まっており、まさに癒着していたと言えるのではないか」と厳しく批判する。

 「長い間、この病院を信頼して治療を受けてきただけに、残念だ」。12日、府立医大病院の循環器内科で受診したという京都市左京区の男性(82)は「医師から薬を処方される患者は、薬が効くと信じているだけに、少しでも間違いがあっては困る。製薬会社も含め、患者のために間違いのない研究をしてほしい」と訴えた。【河内敏康、五十嵐和大】

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