Updated: Tokyo  2013/07/12 16:43  |  New York  2013/07/12 03:43  |  London  2013/07/12 08:43
 

星野リゾート社長:海外進出で観光業の「トヨタ」を-リート上場 (3)

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  7月12日(ブルームバーグ):「ニューヨーク、ロンドンには日本車は走っているが、日本のホテルはない。日本のホテルブランドがあっても全然おかしくない」。旅館・リゾート運営の星野リゾート (長野県軽井沢町)の星野佳路社長はこう語り、国内での実績を武器に、海外での本格進出の機会をうかがっている。

12日には日本版不動産投資信託(Jリート)を東京証券取引所に上場。公開価格51万円に対し、57万円の初値 が付き、58.9万円で初日の取引を終えた。調達資金(約102億円)などを充て、リートの投資法人は星野リゾートから運用資産として旅館などを購入する。

国内については、星野社長は、円安を背景に今年の訪日外国人旅行者は1000万人近くと過去最高になるとみており、観光業は日本の景気拡大を支える成長事業だと話す。温泉旅館「」を現在の9施設から来年、12施設くらいに増やす。

今後は国内で蓄積した運営ノウハウを生かして海外の都市への進出も目指す。その試金石として来年秋には海外としては初のインドネシアのリゾートホテルを開業した後、本格進出する考えだ。星野社長は「海外の都市に話があればいつでもいく」とし、世界で名の通る「トヨタ を意識している」という。

星野リゾートグループは1904年に長野県軽井沢で創業、14年に星野温泉旅館をオープンした老舗だ。

リゾート再生

星野氏はグループの4代目社長。1983年に大学卒業後、すぐには家業を継がず、米国へ留学したり、米シティバンク勤務などで経験を積んだ。経営が傾いていた実家の温泉旅館を建て直すとともに、バブル崩壊で危機に陥った他社の旅館やリゾートの再生・運営業として、国内30カ所に展開している。

2005年には米ゴールドマン・サックスと提携し、有名文化財にも指定された1624年創業の「白銀屋」を再建。また、経営破たんしたマイカルがバブル期に建設した「リゾナーレ 八ヶ岳」を01年に買い取り、稼働率を1年目の44%から12年11月期には約80%に改善させるなど、リゾート再生の実績を挙げてきた。

米国では、進出した日本のホテル業の失敗を目の当たりにし、「西洋のホテルのふりをして出ていくとどう見られるのか痛切に感じた」と話す。海外進出に際しては「親切さとか礼儀正しさ、時間に正確」といった日本人のホスピタリティーを生かしていきたいという。  

J-REIT上場

星野リゾートは施設の所有にはこだわらず、星野社長は「運営会社を目指している」と話す。今回上場した「星野リゾート・リート投資法人 」に対しては、高級旅館の「星のや 軽井沢」など6施設を売却する。売却代金を得て、海外観光客の誘致に向けてシステム投資の強化に充てるほか、人材育成やブランド力強化を目指す。

JリートのIPO(新規公開)としては今年4銘柄目。不動産証券化協会によると、今年上半期(1-6月)のJリート市場のIPOや公募増資の総額は6295億円と、昨年1年間の実績(4964億円)を既に上回っている。デフレ脱却に向けた安倍政権下の大胆な金融政策への期待から、不動産やJ-REIT市場 には投資資金が流入している。

記事に関する記者への問い合わせ先:東京 桑子かつ代 kkuwako@bloomberg.net;東証 Kathleen Chu kchu2@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:Andreea Papuc apapuc1@bloomberg.net

更新日時: 2013/07/12 15:25 JST

 
 
 
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