Updated: Tokyo  2013/07/12 16:35  |  New York  2013/07/12 03:35  |  London  2013/07/12 08:35
 

日本株は景気敏感主導で上昇、緩和持続期待の米株高を好感

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  7月12日(ブルームバーグ):東京株式相場は上昇。量的金融緩和策の早期縮小観測が後退する中で米国株指数が最高値を更新し、投資家のリスク許容度が上向いた。鉄鋼や非鉄金属、ガラス・土石製品など素材関連株を中心にパルプ・紙、機械など景気敏感業種が高い。

TOPIX の終値は前日比7.22ポイント(0.6%)高の1201.99、日経平均株価 は33円67銭(0.2%)高の1万4506円25銭。両指数とも午前の取引でマイナスに転じる場面も見られたが、午後はプラス圏で堅調に推移し、TOPIXは急落前日の5月22日以来、終値で1200ポイントを回復した。

明治安田アセットマネジメントの小泉治執行役員は、「米国では景気は良くなってきているものの、金融緩和は目先まだ続くとの観測が広がったことがプラス要因」と指摘。為替も企業の想定レートに比べ円安水準で、「4-6月期の輸出関連企業などの決算に対する期待が底流にある。10年物国債利回りが0.8%台で落ち着いてきたことも、日本株への買い安心感につながっている」と見ていた。

米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は10日、「予見可能な将来において高度に緩和的な金融政策が米経済には必要だ」と言及。また、同日公表の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録によれば、メンバーの多くは、月額850億ドルで実施している債券購入のペース減速を開始するには雇用の上向きを示すさらなる兆候が必要との認識を示した。

米金融当局が量的金融緩和第3弾(QE3)の早期縮小に踏み込むことへの警戒感が後退した11日の米国株市場では、S&P500種株価指数 が1.4%高の1675.02と終値での史上最高値を更新。米国株オプションの指標で、投資家の恐怖心理を示すシカゴ・ボラティリティ指数(VIX )は11日まで6営業日連続で低下した。

乱暴なQE3縮小はない

野村証券投資情報部の伊藤高志エクイティ・マーケット・ストラテジストは、「米国経済が堅調なため、いずれQE3が縮小・停止に向かうことを市場参加者は覚悟し始めている」としながらも、先週分の米新規失業保険申請件数が増え、「乱暴なQE3縮小はないのではとの思惑が高まり、短期的なマネーフローの混乱への警戒も緩んだ」と言う。

こうした中、東証1部33業種では鉄鋼、非鉄金属、ガラス・土石製品、紙パ、機械、倉庫・運輸、海運、電機など27業種が上昇。売買代金上位では東京電力、ファナック、三井住友フィナンシャルグループ、コマツ、新日鉄住金、キヤノン、東芝、太平洋セメント、三井物産、デンソー、ダイキン工業、住友金属鉱山などが高い。三菱UFJモルガン・スタンレー証券が新規に投資判断を「アウトパフォーム」とした日本板硝子は急伸。

もっとも、相場全般の上値は重かった。3連休前の週末に当たり、持ち高調整の売りが出やすかったほか、15日に中国で4-6月期国内総生産(GDP)が発表されるのを控え、「中国の成長率がどの程度落ちるのかが気掛かり」とも明治安田アセットの小泉氏は話していた。

その他金融、小売、不動産、証券・商品先物取引など6業種は下落。個別では、3-5月期(第3四半期)の営業利益が前年同期比0.7%減の273億円にとどまり、ブルームバーグがまとめたアナリスト予想の平均350億円を下回ったファーストリテイリング が大幅安。Fリテイリ1銘柄で日経平均を90円 押し下げた。サントリー食品インターナショナル、ケネディクス、アイフル、SBIホールディングスも安い。

東証1部の売買高は概算で26億8498万株、売買代金は2兆2931億円。騰落銘柄数は上昇が976、下落603。この日の取引開始時は株価指数オプション7月限の特別清算値(SQ)算出で、日経平均型で1万4410円75銭と、11日の日経平均終値を61円83銭下回った。

記事についての記者への問い合わせ先:東京 河野敏 skawano1@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:Nick Gentle ngentle2@bloomberg.net

更新日時: 2013/07/12 15:32 JST

 
 
 
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