教育系レポート作成例;教育社会学・いじめ問題と教師・生徒について。

 教育系大学で出題されるレポートの作成例です。

出題:「いじめ問題と教師・生徒」について考察しなさい。

*今回の出題は、テキストが指定されているケースを想定しています。テキストで言及されている図表からのデータは、自明のこととして使用しています。

*指定テキスト
 苅谷剛彦・濱名陽子・木村涼子・酒井朗編、2000『教育の社会学――<常識>の問い方、見直し方』有斐閣アルマ

 最近また、中学生がいじめを理由に自殺した。心が痛む出来事である。いじめについては、日本固有の出来事として語られることが多いが、必ずしもそうではない。
 ある調査によれば、例えばノルウェーの場合、小学校2年生男子で17.5%をピークに、学年が上昇するにつれてその割合は減少するものの、10%前後が「いじめられている」との報告がある。この数字は、日本の1学級に換算すると1学級の中で3~4人がいじめられているということであり、少ない数字だとは思われない。また、オーストラリアの8歳男子の場合には、37%がいじめられているとの報告もある。
 日本のいじめに関しては、文部科学省の統計がある。いじめ発生率は小学校で0.07%、中学校でも0.27%でとの試算もあり、ノルウェーやオーストラリアと比較すると、きわめて低い数字となっている。
 日本はこんなにいじめの少ない国だったのだろうか。これは実感とはきわめてかけはなれた数字ではないだろうか。
 そこで、別の調査を検討してみる。東京都生活文化局の調査によれば、「友だちからいじめられたことがある」と応えた小学生・中学生は全体の36%であったという。この数字は、先の文部省調査とは大きく異なるものであり、また、ノルウェーやオーストラリアの調査を大方超える数字である。
 ではなぜ、日本のいじめ調査では、0.07%と36%といった大きな数字の違いが出てしまったのだろうか。それは、調査方法の違いによる要因が極めて大きいと思われる。
 文部省調査の場合、このデータのものである「生徒指導上の諸問題の現状について」という調査は、教師が把握したいじめを市町村・都道府県教育委員会を通じて文部科学省に報告するという悉皆調査である。このような調査方法によっていじめが把握されていくためには、いくつかのハードルがある。
 まず第一に、教師がいじめの事実を認識できるのか、という点である。そもそもいじめは、教師に見えるように行われるものではない。一件の教師が把握したいじめの背後には、その数倍ものいじめの事実があると言ってよかろう。
 また、教師がいじめを把握した場合でも、それをこのような調査に厳密に全部を報告するか、という問

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教育系レポート作成例
2008/10/23




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