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非嫡出子 相続差別 「国内外の変化」どう判断

産経新聞 7月11日(木)7時55分配信

非嫡出子 相続差別 「国内外の変化」どう判断

非嫡出子の出生数と割合の推移(写真:産経新聞)

 非嫡出子(婚外子)の相続分を嫡出子の半分と定めた規定をめぐり、10日に最高裁大法廷で開かれた弁論では、規定を「違憲」とする非嫡出子側、「合憲」とする嫡出子側の主張が真っ向から対立した。この規定については、大法廷が平成7年に「合憲」と判断した後も同様の裁判が数多く起こされるなど、賛否が分かれていた。非嫡出子側が「違憲」の根拠として指摘する「国内外の変化」を、裁判所がどう判断するかも注目される。(滝口亜希)

 ■国際的批判も

 厚生労働省の人口動態統計によると、全体の出生数における非嫡出子の割合は最高裁が「合憲」判断を示した7年の時点では1・2%だったが、23年には2・2%と増加傾向にある。

 和歌山の非嫡出子側はこうした傾向を「男女の結婚観の変化」と捉え、「法律婚の尊重」という規定の立法目的は「すでに失われた」と主張してきた。

 非嫡出子の出生率が高い欧米では、相続などに関する格差を撤廃する流れにあることも、議論に影響を与えている。

 欧米での出生数における非嫡出子の割合をみると、フランス44・3%(2002年)、ドイツ26・2%(03年速報値)など、日本を大きく上回る。一方、法制度を比較すると、フランスでは1972年に相続について同一の権利を持つと法改正したほかドイツも98年の改正で嫡出子と非嫡出子の区別を撤廃した。

 現在では、嫡出子かどうかで相続分に差を設けた規定を残しているのは「主要先進国で日本のみ」ともいわれ、相続格差を撤廃するよう、国連から度重なる勧告を受けるなど、国際的にも批判にさらされてきた。

 これが、非嫡出子側が「もはや規定に合理性がない」と主張する、もう一つの理由だ。

 嫡出子側は「国内外の環境の変化は若干あったが、非嫡出子の増加はわずかで、諸外国とは比較にならない。国民感情などに大きな変化があったとは言えない」と反論している。

 ■司法救済に期待

 一方、相続格差解消に向けた国会の動きは鈍い。

 昭和54年、法務省が民法改正要綱試案の中に、嫡出子と非嫡出子の相続分を同等とすることを盛り込んだが、当時の世論調査で反対意見が多かったことなどから改正には至らなかった。

 平成8年には、法制審議会が改正要綱を答申したが「選択的夫婦別姓制度」とともに賛否が分かれ、法案の提出を断念した。

 22年には千葉景子法相(当時)の下で改正案がまとめられたが、夫婦別姓をめぐり与党内で紛糾。相続規定への議論が進まないまま、閣議決定が見送られ、答申は現在も“たなざらし”の状態が続いている。それだけに、司法に寄せられる期待は強い。

 和歌山の非嫡出子側は「今こそ立法府によって放置されている非嫡出子の司法救済が図られるべきだ」として、最高裁に違憲判断を求めている。

最終更新:7月11日(木)8時12分

産経新聞

 

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