和田監督は大和(手前)にも直接指導。若手の底上げなくして優勝はありえない【拡大】
銀傘に反射する西日が肌をジリジリと焦がす。猛暑に関西特有の高い湿度…。那覇から甲子園に戻ったナインからは「沖縄よりも暑い。蒸し暑い」と悲鳴が上がった。最高気温が31度だったとは思えないほどの酷暑の下、沖縄から戻ったばかりの和田監督が動いた。前半戦残り6試合。坂にノックの炎を浴びせた。
「うちの方針として失敗したら練習をする。バントも含めて。エラーどうのこうのじゃなくてね。自分でもう1回吹っ切って、次の試合に向かわないといけないから」
午後2時50分から指名練習開始。指揮官は終盤の30分間を三塁・坂へのノックに費やした。漆黒に黄色の線が入った自らのバットでゴロを転がす。
「ハイッ!」
「捕れる!!」
「OK…」
「よっしゃ!!」
「ランナー三塁!」
声をかけ、時には状況を設定しながら、前日2失策の坂に愛のムチをふるった。ボールケースから、みるみるうちに白球が消えた。
「ラスト3つ」を終えたと同時に練習終了のコール。ちょうど100本。新井良の不振で5試合連続スタメンに名を刻む男を徹底的にシゴいた。クラブハウスに引き揚げる虎将のほおに汗が伝い、髪の先は無数の玉の汗が跳ねていた。立っているだけでも目がまわりそうになるほどの灼熱地獄。5連勝したとはいえ、巨人とのゲーム差は3・5となかなか縮まらない。若手を追い込むことでチームを引き締めた。