阪神・能見篤史投手(34)が9日の中日戦(那覇)に先発し、7回2失点と好投して今季8勝目をマークした。実はこの1勝の意味は、とてつもなく大きい。他球団からやゆされてきた“弱点”を完全に克服して黙らせたからだ。
7回2失点。中日打線に7安打を許したものの能見は要所を締める投球で白星をつかんだ。「暑かったねえ。初回に味方打線が3点を奪う先制が大きかった? そうやねえ」と淡々と話したが、この勝利の意味は大きい。他球団に“内弁慶”を完全に“卒業”したことを見せつけたことだ。
昨季の能見はホームでは7勝5敗と勝ち越しながら、ビジターでは3勝5敗。この原因のひとつはマウンドにあったといわれた。「能見は、やや固めで傾斜のあるマウンドを好む。甲子園のマウンドもそれに合わせて調整しているんです」とチーム関係者。実際、昨季はマウンドが軟らかく傾斜もなだらかなケースが多い地方球場で能見の登板はなかった。
それを踏まえて他球団の選手やチームスタッフからは“能見がホームで成績がいいのは最高のマウンドだから”といわんばかりに「限定エース」とか「一応エース」とか中には「阪神にエースはいない」との声まで出ていた。
だが、今年の能見は変わった。オフにWBCを見据えた肉体改造で下半身を徹底強化。それによりマウンドの小さな違いに影響されない体を手に入れ、地方球場との相性が逆によくなった。そのトドメがこの日の舞台、沖縄セルラースタジアムでの快投。これで今季は地方球場で3試合に登板し3連勝。防御率も1・99だ。
沖縄セルラースタジアムのマウンドについて能見は「ちょっとフラットな感じで軟らかいです」と話していた。昨季までなら、最も苦手としたもの。実際、試合中に何度もマウンドの状態を気にして砂を踏み固めるしぐさを見せたが、それでも投球に影響を与えなかった。これで弱点を完全克服。自動的に他球団サイドもそれを認めるしかなくなったのだ。
阪神関係者も「今年のウチのエースは無敵だ。もうマウンドも関係ない」と言い切る。完全無欠のエースへ。能見の勢いはさらに増しそうだ。
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