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円高で「悪影響」中小の6割、主要製造業8割
2010年10月5日(火)掲載
山口県は4日、県内の中小企業と主要製造業を対象に行った円高影響調査の結果を県議会地域商工委員会へ報告した。円高により、今後も含め悪影響があると答えた企業の割合は、中小企業約60%、主要製造業約80%に上った。いずれも「悪影響」が「好影響」を大きく上回り今後も影響が懸念されるとして、県は引き続き情報収集を行う。

中小企業は回答があった213社のうち60.1%の128社が今後も含め「悪影響がある」と答えた。

悪影響の内容は「受注量の減少」が93社(72.7%)で最も多く、「受注単価の引下げ」が65社(50.8%)で続いた。県経営金融課は、輸出に関連した取引先からの受注減やコストダウンの要請が要因とみている。

検討中も含めた円高対策として、85社(23.0%)が「経費の削減」、38社(10.3%)が「雇用調整」を挙げ、効率化や合理化に踏み切らざるを得ない悪影響も出ているとみられる。

行政に対する円高対策への要望は、「為替介入など政府・日銀による円安への誘導」や「公共事業等による内需拡大」といった内容に集約された。

主要製造業は回答があった31事業所のうち、80.7%の25社が今後も含め「悪影響がある」とした。

悪影響の主な内容は「為替差損の発生」13社(56.5%)、「輸出向け成約額の減少」9社(39.1%)が目立った。

短・中期的な円高対策として、「経費削減等による体質の強化」14社(51.9%)、「部品原材料等の海外からの調達」8社(29.6%)、「為替予約・オプション取引」7社(25.9%)のほか、「海外生産比率の引き上げ」や「生産拠点の海外移転」を挙げた事業所もあり、生産を海外へシフトしていく動きも一部でうかがえる結果となった。

調査は円高が県内企業にどのような影響を及ぼしているかを把握するため、経営金融課と企業立地推進室が合同で実施。対象の事業所にアンケートを郵送して行った。

中小企業は1ドルが83円80銭だった9月7日を調査時点に、輸出や輸入の実績が多く従業員規模20人以上の349社を対象に行った。回答率は61.0%。

主要製造業は1ドルが85円42銭だった9月2日を調査時点に94事業所を対象に実施。回答率は33.0%だった。
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