参院選:目立つ「うちわ型」の街頭ビラ
毎日新聞 2013年07月10日 15時11分(最終更新 07月10日 21時04分)
◇『うちわ』として配ると違法となる可能性も
真夏日が続くなかで参院選の街頭演説などで配る選挙ビラに、「うちわ」の形をしたものが目につく。猛暑のなかで「受け取ってもらいやすい」「電車で使ってもらえれば、PR効果が高い」と、各陣営は夏の選挙に工夫を凝らす。ただ、選挙ビラの形状には制限がないものの、総務省は「『うちわ』として配ると違法となる可能性もある」とくぎを刺している。
大阪選挙区の新人の陣営が用意した選挙ビラは、直径20センチ程度の丸形で、候補者本人の顔写真と名前が目立つように印刷されている。厚手の紙を使い、指を通して持ちやすいように小さな穴を開けており、受け取って顔をあおぐ人も目立つ。この陣営は、うちわ型のビラ2万枚を用意。陣営は「連日の猛暑の中、支持者以外の通行人にも受け取ってもらいやすい」と話す。
また、同選挙区の別の新人陣営は30万枚を用意。「ものを無駄にしたくない関西人としては、ほかしにくい(捨てづらい)はず。厚みがあるので、カバンの中で他のものにまぎれずに目立つのも利点だ」と期待する。
滋賀選挙区の新人陣営も約15万枚のビラのうち、3万枚をうちわ型にした。「受け取った人が野外のバーベキューや電車の中など人の集まった場所であおげば、他の人の目に触れる」と波及効果も狙う。
ただ、難点は通常より割高なことだ。参院選でうちわ型ビラを作った大阪市の印刷会社によると、汗が付いてもにじみにくい速乾性インキや、厚手の紙などの材料費に加え、手作業で丸い形に切り出す手間がかかり、通常の2倍近いという。
また、印刷面が小さめで、情報量が少ないというデメリットもある。候補者の名前や顔写真を大きくあしらい、政策などは小さな字で印刷しているビラが多く、ある陣営は「政策を詳しく書いてもそれほど読んでもらえない。重要な政策に絞って列挙し、後はホームページなどで見てもらえばいい」と明かす。
総務省によると、ビラは縦29・7センチ、横21センチ以内であれば、厚みや形などは自由だ。枚数は選挙区によって異なるが、種類は2種類以内で各選管に届け出る必要がある。総務省は「『うちわ』として有権者に配ると、公職選挙法で禁じた物品の供与にあたる可能性がある」とも警告している。【田所柳子】