石原慎太郎氏と藤巻健史氏（右）

　日本維新の会の石原慎太郎（８０）、橋下徹両共同代表（４４）が１０日、都内で街頭演説を行ったが、石原氏に“えこひいき疑惑”が持ち上がった。東京選挙区から出馬している候補のための演説のはずだったが、石原氏のそばには比例代表候補で経済評論家の藤巻健史氏（６３）がいた。

　維新関係者は「有名な応援弁士は基本的には選挙区候補の応援で、比例候補の応援はしない。もし演説場所に比例候補が来ても、街宣車には乗せない方向だと聞いています。比例は３０人もおり、公平を期すためということです」と話していた。ある比例候補の選対関係者も「そうらしいけど、橋下氏とは一緒にやりたかった」とがっかり。

　ところがである。ＪＲ新橋駅前の演説で、石原氏は街宣車のデッキに立って演説しながら、後方に藤巻氏を立たせた。経済政策を訴えながら「詳しくは藤巻さんから話があると思うが」と名前を出すサービスっぷり。もっとも石原氏から橋下氏にバトンタッチされ、藤巻氏の出番はなし。橋下氏が話すのを横目に藤巻氏はそろ～りとその場を離れていった。

　藤巻氏に聞いてみると「実は石原氏にはいろいろ連れ回してもらっています。『君はこの党に必要だ』とも言っていただきました。経済政策で通じるところがあるのでしょう。そこまで言われたら、落選なんてできません」。そうはいってもほかの比例候補から嫉妬を買いそうだが…。「いやいや。確かに公平にやるため、応援はあまりないそうです」と恐縮気味だ。

　橋下氏の演説中には藤巻氏が席を外していたところをみると、あくまで石原氏の独断だろう。ほかの比例候補から不満の声が出てくるのは必至。あとになって火種にならなければいいが…。