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【サッカー】

Jヴィレッジ復興へプロジェクト立ち上げ

2013年7月12日 紙面から

ピッチに東京電力の社員寮が建てられたスタジアム。後方のスコアボードの時計は、東日本大震災発生時間のままだった=福島県の「Jヴィレッジ」で(沢田将人撮影)

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 日本サッカー協会は11日、東京電力福島第1原発事故対応の拠点としている福島県楢葉町のJヴィレッジで理事会を開き、本来のサッカー施設に復旧させるための「Jヴィレッジ復興サポートプロジェクト(仮称)」を立ち上げることを決めた。大仁邦弥会長が座長を務めJヴィレッジ副社長に就任した上田栄治理事と連携してプロジェクトに取り組むが、復旧には除染などの難題が山積している。

 日本サッカー界初のナショナルトレーニングセンターとして、1997年に開設されたJヴィレッジ。トルシエ監督やジーコ監督の時代は日本代表の練習拠点となっていた施設も、かつての姿は見る影もなかった。

 理事会前に、各理事が施設内を視察したが、日本協会の田中専務理事が「以前を知る方はショックを受けていた」と話したように、現状は深刻だった。施設内のスタジアムはわずかに電光掲示板に面影を残す程度で、時計の針は東日本大震災が発生した午後2時47分をさしたまま。芝生のピッチだった場所には砂利が敷かれ、福島第1、第2原発で作業をする東電社員用のプレハブ2階建ての仮設寮が立ち並んでいた。

 天然芝11面のピッチからは芝が姿を消し、2006年のワールドカップ(W杯)ドイツ大会直前の合宿で、1万人以上の観衆が詰め掛けた第3ピッチは鉄板、砂利が敷き詰められ、作業用の駐車場に変貌。人工芝の第6ピッチには作業用の巨大なタンクが残っている。

 現在、第1ピッチ、第2ピッチは事故対応拠点の役目が一段落しているが、雑草が伸び放題。東電関係者は「表面の草や土を取り除いて除染をすれば、元に近い姿に戻るが、今、除染した土を処理する場所がない」と説明する。ピッチ1面の約1万平方メートルから、トン単位となる除染土壌の処理は、福島県全体でも大きな問題となっている。大仁会長は「時間はかかると思うが、何面でもいい、早くサッカーができるようになればと思う。年間44、45万人が利用して、約4万人が宿泊した当時の形に戻したい」と願いを込めて話した。

 しかし、Jヴィレッジが原発事故対応の拠点としての役割を完全に終えるメドはまだ立っていない。さらに11面の練習場とスタジアムなどの施設、環境をすべて元通りに戻すためには莫大な費用と時間がかかる。また、たとえ施設が復旧しても、近隣地域全体の復興が実現しなければ、かつてのように多くの人々を呼び寄せるのは至難の業だ。日本初のナショナルトレセンの機能回復には難題が山積。いまだ暗中模索の状態だ。 (相原俊之)

 

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