被災地の「心霊現象」不安が背景に 京大でシンポ
東日本大震災による喪失体験や悲しみの問題を考える京都大こころの未来研究センターのシンポジウム「こころの再生に向けて」が9日、京都市左京区の京大稲盛財団記念館であり、被災地で聞かれる心霊現象や、人々の悩みに宗教が果たす役目について学識者が意見を交わした。
東北大の鈴木岩弓教授(宗教民俗学)は「震災後の幽霊の語りと民俗」と題して講演し、福島県相馬市で聞き取った心霊現象を報告した。「津波を受けたスーパー跡地で人の声が聞こえる」「津波被害の大きかった地域でカメラが動かなくなる」など、さまざまな話があるという。
高橋原准教授(宗教心理学)は、心霊現象を人々が語る背景には心身や社会的不安があると指摘。「幽霊の存在を感じたり、苦しんでいるという事実はあるが、相談できる窓口はない。宗教者は死者が成仏する物語を紡ぐことができ、こうした問題を受け止めることができる」と、宗教の役割への期待を語った。
【 2013年07月10日 12時33分 】