1975年2月23日、日本で最も不可解なUFO事件のひとつ、「甲府事件」が発生した。
その不可解な最大の理由は、日本でも数少ない第3種接近遭遇であっただけではなく、現場から「自然界に存在しない放射能」を検出したからである。
当時、放射能の知識は、一般にはまったくなじみのないものであった。しかし、現在では2年前の原子力事故により生活に必須のものになってしまっている。
約40年前、甲府で何があったのか? 放射能検出の意味も含め、もう一度振り返ってみたい。
1.甲府事件の発生
発生日時:1975年2月23日 夕刻
発生場所:甲府近郊
目撃者 :少年2名+親御さん
分類 :UFO、目撃者複数、残留証拠有(現存していない)
事件概要:
この日、甲府近郊で小学2年生ふたりが、夕方遅くまでローラースケートで遊んでいた。季節は2月の後半であり、日没は5時半頃。
暗くなり帰ろうとした時、彼らはオレンジ色に光る飛行体を目撃した。
飛行体は東の空に現れ、彼らの上空をほぼ1周して北の空へ飛び去った。この飛行体は、ふたりの上空で空中停止したともいわれる。
ふたりは驚き、急いで近くの墓地に隠れた。
しばらくして飛行体の飛び去った自宅の方向へ帰り始めた時、自宅近くのぶどう畑にオレンジ色に輝く物体を見つけた。
好奇心から近づいて見ると、オレンジ色に見えた物体は、実は銀色で表面には文字らしきものもあった。
そして物体の周りを1周した時、金属音とともにふたりの目の前に小柄なヒューマノイドが出現した。
物体の中には、さらにもうひとりの姿が見えた。ヒューマノイドの耳は大きく尖り、チョコレート色の顔に波型のしわがあった事は覚えているが、目、鼻、口には気がつかなかった。
ヒューマノイドは、なにか音を発しながらひとりの肩に手をかけてきたが、ふたりは一目散に自宅へ逃げ帰った。
(図2、図3、図4)
この話を聞いた母親達は、不審に思いつつも帰ってきた子供の異常な様子を見て、ぶどう畑に行った。
そして、ふたりの子供の指さす方向にオレンジ色の輝く光を目撃した。しかし、戸惑っているうちに、その光は消えてしまった。
…ここまでは、我々の現地調査により、当事者から直接聞いた話を再構成したものである。40年近い時間の経過もあり、見直してみると、もっと聞きたかったことは出てくるが、大筋で間違いはないはずである。
2.現地調査
ここまでなら、小学生しかも低学年2人の、たわいもないお遊びの話かとも思えた。
しかし親御さん方もなにかを目撃しており、少なくとも注目すべきUFO事件とも思われた。
我々は、早急に甲府に行く価値があると考え準備をしたが、実際に現地に行けたのは事件発生数ヶ月後の夏であった。
だが、現地調査により目撃した小学生ふたりの間の話に、矛盾がない事を確認できた。そして、第三者の立場となる親御さん方も、なにかを目撃していることもわかった。従って、この「甲府事件」は、日本で数例しかない貴重な第3種接近遭遇である可能性が考えられた。
目撃された物体は、ほぼアダムスキー型。遭遇したヒューマノイドは、目や鼻の印象がなかったという事から、フル・フェイスのヘルメットを着用していた可能性もある。この場合、とがった耳というのは、通信装置のアンテナか生命維持装置の一部であったかもしれない。
尚、UFOに搭乗しているといわれるヒューマノイドのタイプには、図5のタイプが知られている。
アダムスキー型だと搭乗員はTypeⅡともいわれるが、目撃談からはType C12、Type Xのイメージもある。
逆に考えると、甲府で目撃されたヒューマノイドは、世界各地で報告されているヒューマノイド・タイプと大差なく、世界各地で当時報告されるのと同じ相手と出会った可能性も考えられる。
もちろん、目撃者が過去に雑誌等でこれらヒューマノイドの絵を見たことがあり、それが潜在意識に残り、目撃印象が似た可能性も捨てきれない。
しかし、ふたりの話の内容が一致していることから、その可能性は小さくなると考えられた。
ここまでくると「ついに日本でも、第3種接近遭遇が起きたか!?」という心高ぶる面と、親御さん方も何かをみたようだが結局「子供の話か?」との冷めた面の両方が交錯する状態となった。
そしてもし、現地調査をしていなければ、この中途半端な結論で終わっていたかもしれない。
しかし、この時に甲府で現地調査を行った事で、思いがけない成果があった。この現地調査により「甲府事件」は、ただの第3種接近遭遇ではない事が認識できたのだ。
3.放射能検出
子供達の話は事件直後に地元の新聞に載り、現場には異常なほど多数の見学者(野次馬?)が訪れたらしい。
そして、その中にいらっしゃったひとりの理科の先生が、興味本位から現場の土を採取して自宅のガイガーカウンターで測定した。
すると微量ではあるが、ガイガーカウンターに反応する放射能を検出したのだ。
ここで注意が必要である。微量な放射能を検出しただけなら、まだ全く問題はない。
たとえば関西方面は関東方面に比べ、ほんのわずかに放射能値が高い。これは、関西方面の土壌は、微量ながらウラン元素などを含む花崗岩が多く、関東地方はこれらをあまり含まない火山灰成分が多いからだ。
そして関東地方でも、コンクリートや石材建造物の多い銀座界隈は、鎌倉などの古い木造建築物の多い場所にくらべ、放射線量がほんのわずか高い。
従って、いくらUFO着陸目撃地点といえ、異常に高い放射能を検出したのならともかく、わずかな放射能を検出しただけでは、異常事態とはいえないのである。
しかし、甲府事件で検出された放射能の場合は、別の点で異常な放射能だった。
異常だったのは、その量ではない。検出された放射能が2週間ほどの半減期で消えていったことだ。
短い半減期を持つ放射能が検出されたことは、強い放射能を検出した事と同じように異常な事態を意味する。なぜなら短い半減期の放射能は、自然界には存在しないからだ! (*1)
我々は、甲府現地調査を行ったおかげで、幸運にもその理科の先生から直接お話を伺うことができた。
この短い半減期を持つ異常な放射能については、次回で紹介したいと思う。
<次回につづく>
注:短い半減期の放射能は、長い地質年代の間に完全に消え去ってしまう。自然界に存在する半減期の短い放射能は、いろいろな自然作用で常に新しく生成され続けているものに限られている。
従って、2週間程度で減衰する放射能を検出したことは、非常に特別な意味を持つ。