7月11日の米国マーケットサマリー:株は終値ベースで過去最高値
7月11日(ブルームバーグ):ニューヨークの為替・株式・債券・商品相場は次の通り。(表はNY午後4時現在)
為替 スポット価格 前営業日 ユーロ/ドル 1.3097 1.2978 ドル/円 98.89 99.68 ユーロ/円 129.52 129.35 株 終値 (暫定値) 前営業日比 変化率 ダウ工業株30種 15,460.99 +169.33 +1.1% S&P500種 1,675.03 +22.41 +1.4% ナスダック総合指数 3,578.30 +57.55 +1.6% 債券 直近利回り 前営業日比 米国債2年物 .33% -.02 米国債10年物 2.57% -.05 米国債30年物 3.62% -.03 商品 (中心限月) 終値 前営業日比 変化率 COMEX金 (ドル/オンス) 1,279.90 +32.50 +2.61% 原油先物 (ドル/バレル) 104.64 -1.88 -1.76%◎NY外国為替市場
ニューヨーク外国為替市場ではドル が2001年10月以来の大幅下落。バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長は前日、予見できる将来における刺激策の維持を支持する見解を示した。
ドルは主要取引通貨のほとんどに対して下落。FRBが10日公表した連邦公開市場委員会(FOMC、6月18-19日開催)の議事録によれば、メンバーの多くは、月額850億ドルで実施している債券購入のペース減速を開始するには雇用の上向きを示すさらなる兆候が必要との認識を示した。円は対ドルで上昇。日銀は政策方針の現状維持を全員一致で決定。景気判断を引き上げた
ウエストパック銀行のシニア為替ストラテジスト、リチャード・フラヌロビッチ氏(ニューヨーク在勤)は「バーナンキ議長と緩和縮小、何を話したか、何を話さなかったかが話題のすべてだ」と語る。「ユーロや株価、10年債利回り、いずれもなおバーナンキ議長を意識した動きになっている」と述べた。
主要10通貨を対象としたブルームバーグ・ドル指数はニューヨーク時間午後3時4分現在、前日から1.4%下げて1034.04。終値ベースとすれば、2011年10月17日以来で最大の下げ。
ドルは対ユーロで1%安の1ドル=1.3102ドル。対円では0.7%下げて1ドル=98円96銭。一時は98円27銭まで下げ、6月27日以来の安値を付けた。円は対ユーロで0.3%安い1ユーロ=129円71銭。
◎米国株式市場米株式相場は上昇。S&P500種株価指数など主要株価指数は終値ベースで過去最高値を更新した。米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が刺激策の維持を支持したことが手掛かり。
ニューヨーク時間午後4時過ぎの暫定値では、S&P500種 株価指数は前日比1.4%上昇の1675.02。5月21日に付けた終値での最高値1669.16を上回った。ダウ工業株30種平均は169.26ドル(1.1%)上げて15460.92ドルと、こちらも終値で過去最高値となった。
ヘイバーフォード・トラストのハンク・スミス最高投資責任者(CIO)は電話取材で「今年の株式相場を見てみると自信が不透明感や不安感に取って代わっている」とし、「センチメントの改善がより大きく影響している。これは株式のリターンに大きな効果をもたらしつつあり、過度な楽観や熱狂を心配するような状況からはまだ程遠い」と述べた。
◎米国債市場11日の米国債市場では10年債が4日続伸。今年2月以来で最長の連続高だった。金融当局者の間で資産購入の縮小時期をめぐって見解が分かれているが、バーナンキ連邦準備制度理事会(FRB)議長は緩和策を維持する姿勢を示した。
午後に入って30年債入札(130億ドル)が実施され、最高落札利回りはほぼ2年ぶりの高水準だったが米国債は堅調を維持した。バーナンキ議長は前日、マサチューセッツ州ケンブリッジでの講演後の質疑応答で、「予見可能な将来において高度に緩和的な金融政策が米経済には必要だ」と発言した。今週の市場では、米当局が資産購入を縮小するとの観測から利回りは一時2011年8月以来の高水準に押し上げられた日もあった。
ウィリアムズ・キャピタル・グループの債券取引責任者、デービッド・コード氏(ニューヨーク在勤)は、「経済統計を極めて重視しており、金融引き締めの話はしていないことを市場に理解してもらおうと、当局は手を尽くしている兆しが増えた」と述べ、当局は「まだ不安定な景気回復を損ねるようなことは絶対にしないだろう」と続けた。
ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間午後3時27分現在、10年債利回りは5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の2.57%。同年債(表面利率1.75%、2023年5月償還)価格は13/32上昇の92 28/32。
既発30年債の利回りは2bp下げて3.63%。利回りは今月5日には3.71%と、2011年8月以来の高水準をつけた。年初来の最低は5月1日の2.81%。
◎NY金先物市場ニューヨーク金先物相場は4日続伸。約2週間ぶりの高値となった。米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が前日に「予見可能な将来において高度に緩和的な金融政策が米経済には必要だ」と述べたことが背景。
米連邦公開市場委員会(FOMC、6月18-19日開催)の議事録によれば、メンバーの多くは債券購入のペース減速を開始するには雇用の上向きを示すさらなる兆候が必要との認識を示した。米労働省がこの日発表した先週の新規失業保険申請件数は2カ月ぶりの高水準となった。
マレックス・ノース・アメリカのブローカー、カルロス・ペレサンタラ氏は電話インタビューで、「緩和縮小は現在のところ遠い夢だとの印象をバーナンキ議長が与えたため、金は上昇している」と指摘。「きょうの指標は経済がまだ完全には回復していないという事実を確かなものにした」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物8月限は前日比2.6%高の1オンス=1279.90ドルで終了。中心限月としては1日以来の大幅上昇となった。一時は1297.20ドルと6月24日以来の高値をつけた。
◎NY原油先物ニューヨーク原油先物相場は反落。一時は1年3カ月ぶり高値に上昇していたが、米失業保険申請件数が予想を上回ったことを嫌気しほぼ3週間ぶりの大幅安となった。また、国際エネルギー機関(IEA)が来年の原油供給が需要よりも速いペースで伸びるとの見通しを示したことも、売り材料となった。
米労働省の発表によると、先週分の失業保険申請件数は予想外に増加し、2カ月ぶり高水準となった。IEAは石油輸出国機構(OPEC)加盟国以外からの供給がここ20年で最も速いペースで拡大するとの見通しを示した。原油価格は今月に入り、エジプト騒乱に起因する供給不安で8.7%以上値上がりしていた。
プライス・フューチャーズ・グループ(シカゴ)のシニアマーケットアナリスト、フィル・フリン氏は「弱い雇用の統計が出た。原油需要にとっては芳しくない」と指摘。「ここまで急速に上昇してきたが、さらに上値を追い続けるには、新たな強気材料が不足している。エジプト・プレミアムが消えつつある」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物8月限は前日比1.61ドル(1.51%)安の1バレル=104.91ドルで終了。一時は2012年3月27日以来の高値となる107.45ドルに上昇する場面もあった。
更新日時: 2013/07/12 05:43 JST