「TSUTAYA」を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は7月11日、宮城県多賀城市が進める図書館などの施設整備について、同市と官民パートナーシップ(PPP)を結ぶことで合意した。同日、東京・代官山の「蔦屋書店」で、CCCの増田宗昭CEOと多賀城市の菊地健次郎市長が合意文書に調印した。
多賀城市は仙台市の北東に位置する人口6万2000人の市。11年3月の東日本大震災では地域の3分の1が浸水し、一時は1万2000人以上が避難したという。
震災復興事業として、JR多賀城駅(仙石線)周辺の中心市街地整備を計画。「東北随一の文化交流拠点」を目指しており、2015年完成を目指し新築する図書館をその中核施設に位置付けている。
CCCは図書館の企画を担当。本を持ち込んでお茶を飲めるカフェやレストラン、自習スペースなどを備え、自習したり、家族で1日中楽しんだりできる場にする計画で、「本も読め、食事やお酒も楽しめる、人と人とがつながる図書館になれば」と増田CEOは意気込む。書籍は無料で貸し出すが、雑誌や新刊書は販売も検討。貸し出しにTSUTAYAのポイントカード「Tカード」を利用することも検討する。予算の詳細や運営形態は今後詰める。
CCCは佐賀県武雄市から委託を受け、「武雄市図書館・歴史資料館」を今年4月にリニューアルオープン。蔦谷書店やスターバックスコーヒーが入店し、貸し出しにTカードが利用できる施設で、3カ月間で一昨年の1年分の来館者数を上回る26万人が来館するなど好調だ。CCCは武生市図書館で培ったノウハウを、多賀城市の図書館にもいかす。
図書館が充実し過ぎると、地元の書店や出版業界の衰退につながるなどと反対する声もある。「一部の方に反対する方もいることは分かっているが、市民には『是非TSUTAYAに来ていただきたい』という声の方が圧倒的に多かった」と菊池市長。増田CEOは「TSUTAYAは日本一本を売っている。雑誌や新刊も是非、販売もさせていただきたい」と話していた。
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