7月11日、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)代表取締役社長増田宗昭氏と宮城県多賀城市の菊池健次郎市長が「東北随一の文化交流拠点の整備」に関する共同記者会見を東京・代官山の蔦屋書店で開催。同市内への蔦屋書店の出店、および、JR多賀城駅前に図書館を中核に据えた文化交流拠点を2015年夏にオープンする予定を明かした。これはCCCが手がける佐賀県「武雄市図書館・歴史資料館」に次ぐ2例目の事案となる。
共同記者会見で菊池市長は、古くから「遠の朝廷」などと呼ばれてきた多賀城市を紹介。これまで約40年にわたりJR多賀城駅周辺の中心市街地整備事業に取り組んできたが、東日本大震災で市域の3分の1が津波で浸水するなど甚大な被害を受け、そこからの復興に取り組んでいると話す。菊池氏は同事業を震災復興のシンボルと位置づけ、多くの市民が集い、交流できる“誇りとなる場所”にしたい考えを説明。代官山蔦屋書店にみられるような本の価値を中心に据えた文化発信、文化提供のインフラ作りを行うCCCの取り組みは、「文化活動の高まりが、豊かなまちをつくる」という自身の信念と通じるものがあり、今回の連携に至ったのだと話した。
増田氏は4月にオープンした佐賀県武雄市の図書館について、来館者数などの数字を公開。それによると、オープンから3カ月で来場者は26万4000人、貸出冊数は14万9000冊に達したという(前年実績はそれぞれ6万1000人、7万7000万冊)。利用者全体の57.4%が新規利用者であると取り組みへの自信を見せた。
今回CCCは建築コンセプトから参画。“もう1つの家に帰る”ような感覚で、家族が一日中楽しめる公共施設の実現を目指す。増田氏は「空間的には家、機能的にはインスパイアされるものを」と話し、多賀城市において、文化が人と人を繋ぐ施設を企画会社として実現に協力したいと述べた。また、武雄市図書館ではできなかった「食をやりたい」と話し、施設内に食事ができる場を設けたいという。
現時点では、オープン後の運営をCCCが行うかなどの詳細は決まっておらず、相互に合意した事項を実施していく考えであると両氏。図書カードとしてのTポイントカードの利用などについても未定としたが、増田氏は武雄市図書館ではTポイントカード選択率が95.8%であると付け加えた。
また、こうした図書館の企画運営により、書店や出版社との関係はどのように考えているか聞かれた増田氏は、TSUTAYAの年間販売額を紹介しながら「本は一番売っている自負がある」とし、また現在、年間で雑誌やコミックを除く書籍が約7億冊販売されているのに対し、図書館での貸し出しは約7億2000万冊、さらに古本としても6億3000万冊が販売されているというデータを示しながら、そうした豊かな読書文化を広くとらえ、文化提供のインフラとして役目を果たしていきたいとした。
「新作や雑誌は(施設内で)販売もしたい。また、(施設がオープン予定の)2015年には進んでいると思われるコンテンツのデジタル化についても対応していけるようにしたい」(増田氏)
Copyright© 2013 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
表示/非表示