オーストラリア記念館:存続の危機 大阪万博から三重・四日市に移設 引き受け手、見つからず 運営法人、11月末で解散

毎日新聞 2013年06月03日 中部夕刊

 1970年の大阪万博で展示され、三重県四日市市羽津甲に移設されたオーストラリア記念館が、取り壊しの危機に直面している。運営する財団法人「日本万国博オーストラリア記念館」が今年11月末に解散することになったが、築40年と老朽化が進んでいることもあり、建物の引き受け手が見つからないためだ。日豪友好のシンボルは生き残れるのか−−。【岡正勝】

 記念館は恐竜が頭をもたげたような姿で知られる。68年に結んだ四日市と豪・シドニーの姉妹港協定が縁で、大阪万博会場から四日市に73年移築された。円形ホールと展示室からなる延べ約1300平方メートル。展示室に入ると、大きなくちばしが突き出た体長12メートルのカモノハシが出迎える。2005年の愛・地球博(愛知万博)のオーストラリア館で展示され、その後、四日市市が購入した巨大模型だ。

 しかし、室内は閑散としている。入館無料だが、来場者数は06年度の2万9736人がピークで、08年度には1万人を割り込み、11年度は6626人だった。「万博関係者が懐かしがって訪れることはあるが、他は周辺施設のイベント客がたまたま見つけて立ち寄るケースがほとんど」と、男性係員は寂しげだ。

 取り壊しが浮上した背景には、国が進める公益法人改革がある。財団法人は11月末までに、公益財団法人か一般財団法人への移行を義務付けられた。しかし、記念館運営財団は慢性的な赤字が続いているほか、専従職員がいないことから「公益」化が難しかった。「一般」化も固定資産税納入などが伴うため選択肢にならず、財団は解散せざるを得なくなった。

 財団は、構成団体の四日市港管理組合や県、管理を委ねている市文化まちづくり財団などに、施設引き受けを打診したが、断られた。老朽化施設の維持管理費がかさむ懸念などから四日市市には「取り壊し」「存続」の両論があり、5月中に出す予定だった結論を先延ばしした。

 財団には11月末見込みで1億1000万円の残余財産がある。施設継続に必要な耐震補強費の5900万円は賄える。存続派は「大阪、愛知両万博の資料が残る数少ない施設。観光施設としても利用できる」と主張、取り壊し派は「今後の維持管理費を考えれば体力があるうちに解体すべし」との意見だ。財団解散まであと半年。市側は「早急に方向性を決めたい」としている。

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