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(39時間11分前に更新) |
納豆嫌いを克服したのは大人になってから。子どものころは卵を落としても、しょうゆを垂らしても、臭いが鼻を突いた
▼味覚が成長したのかと思って、全国納豆協同組合連合会に聞いたら当てが外れた。おいしくなっていたのだ。1970年代から輸送インフラが整備され、製造技術も高まって「ちょうどいい状態」で家庭に届くようになったという
▼その秘密は納豆菌の働きを制御する仕組みにある。嫌な臭いは発酵が進み過ぎたせいだった。沖縄でも本土復帰後、早々に流通網が整ったはずなのに、長年食わず嫌いを続けてきた。もったいない
▼その納豆菌が、黄砂に乗ってやってくるというから面白い。『空飛ぶ納豆菌』(岩坂泰信著)は、日本や中国での綿密な調査を基に黄砂の表面に微生物やさまざまな物質が付着していることを解き明かす
▼大陸からの風は、PM2・5という何やら物騒なモノを運んでくるが、一緒にやってくる窒素酸化物は、海のプランクトンの餌となって食物連鎖に貢献する。そして日本独自の発酵食品の生みの親であるのかもしれない
▼岩坂さんの仲間は、黄砂から採取した菌から、納豆を作り商品化してしまった。その名も「そらなっとう」。いったいどんな味がするのだろう。がちまやーの欲望は尽きない。7月10日は納豆の日。(具志堅学)