家入さんが組織運営の秘訣をツイートしています。
マネジメントしないマネジメント
1.僕らのLiverty、そして日本中に増えつつあるリバ邸。よく「どうやって管理してるんですか?」と聞かれるが、正直全く何も管理していない。プロジェクトもシェアハウスも、"やりたい"という子がいる限り、基本的にその子に任せている。マネージメントをしない、というマネージメント笑
— 家入一真 08044431800 (@hbkr) July 10, 2013
2.全てを把握してマネージメントしようとするから、コストが莫大になってしまう。そもそも感情の生き物である人間を完全に管理・コントロールしようとするのが間違いで、"人を管理することなんて出来ない"という前提の元、その個々の人間とどうつきあっていくのか、を考えなきゃいけない。
— 家入一真 08044431800 (@hbkr) July 10, 2013
6.明日何が起きるか全く予測出来ない。そんな時代において1つの考えに従って上から全部をコントロールしようとするのはナンセンス。そういう意味で、僕らはあえてマネージメントをしない、と宣言している。むしろ変化を前提にした、メンバーとの繋がりや環境設定を意識している。
— 家入一真 08044431800 (@hbkr) July 10, 2013
マネジメントしないマネジメント。これ、すばらしい経営哲学だと思います。部下たちを駒として見るのではなく、高い創造性をもった才能ある人間として見る。
信頼が必要
こうしたマネジメントのあり方は、旧来的なリーダーシップを振りかざすオッサンたちには理解できないでしょう。彼らにとってリーダーシップとは「使えない部下どもを上から命令して統率する」ことを指すからです。
「マネジメントしないマネジメント」を実践する際には、メンバーを「信頼」する必要があります。そのためには、「信頼できる人物を見抜く」必要もあります。
昔ながらのリーダーシップにおいては、この「信頼」というプロセスが欠如しています。自分以外は未熟者であることが前提で、マニュアルに従って仕事をしてもらうだけで十分だ、余計な提案などはいらない。これは「古いオッサン」のやり方です。ちょうどチャップリンの「モダンタイムス」を想像していただくとわかりやすいでしょう。工場長は指示を出して、計画どおりに働かせるのが仕事なのです。
そうです、逆説的に思えるかもしれませんが、家入さんはLivertyに関わる人々を信頼しているように見えます。人間というものは創造性がある生き物だから、導くことはあっても、命令することはしない。家入さんの発言からは、そういう価値観が透けて見えます。
Livertyに関わる人々は、家入さんのそうした価値観を読みとり、「この人は命令はしない人だ。だったら自分が進めないと」という、健全な諦めを抱きます。トラブルが起きた際を除き、マネージャである家入さんは表に出たり、誰かに指示を出すことはないでしょう。そこに存在するだけで、ツイートを発信するだけで、人が動いていくという、理想的なリーダーシップのあり方です。
無論、家入さんが誰かを信頼するのみならず、メンバーもまた、家入さんに強い魅力を感じていないと、このリーダーシップは成り立ちません。
言葉は悪いですが、Livertyは「家入教」であり、「信者」たちは、家入さんが与える光のもと、自由に行為していく。そんなイメージです。
「マネジメントしないマネジメント」には、
・リーダーがメンバーを信頼すること
・信頼に足るメンバーを選別すること
・メンバーがリーダーを信奉すること
が求められます。大企業によくいる、とりあえず年功序列的にリーダーになってしまったオッサンたちには、とても真似できない資質でしょう。リーダー個人の資質を超えて、会社の意図でチームが勝手に組み替えられてしまう場合など、企業の仕組みとして「信頼に足るメンバーを選別すること」が不可能、ということもありそうですね。
「リーダーが逐一指示を出して、メンバーはその指示に応じて動く組織」と、「リーダーは指示を出さず、メンバーの創造性を信頼して動く組織」とでは、やはり後者の方が、イノベーションを起こしやすく、長続きする組織になりやすいでしょう。
命令型のリーダーシップを取る会社は、よほどトップが優秀で、先見性がない限りは、時代の波に付いていくことができません。テクノロジーのような変化の早い分野では、やはりメンバーの創造性を高める組織経営が一般的になるでしょう。
さらに付け加えれば、働いていて楽しいのは、間違いなく「リーダーは指示を出さず、メンバーの創造性を信頼して動く組織」です。命令型の組織では従業員は「駒」ですから、やはり疎外感を抱いてしまいます。
マニュアル的ではない家入さん流の組織は、求められることのレベルは高いですが、うまくマッチすれば心から楽しんで働けるはずです。
これからのリーダーシップを学ぶ意味でも、家入さんの書籍はおすすめ。リーダーシップ論にフォーカスした一冊も読みたいなぁ。新刊出さないのだろうか。