中世・東方正教会を脅かした異端「ボゴミル派」 〜グノーシス主義の復活?〜
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キリスト教が地中海に広まった時に、最初に立ちはだかった異端
の教えといわれているのがグノーシス主義http://blogs.yahoo.co.jp/david_solomon2011/7855736.htmlといわれる物で、これはこの世を作ったのは、至高の神々から劣る造物主で、イエスは至高の世界からやってきたという
ような思想で、キリスト教の異端として、やがて消滅していきますが、完全に消滅したわけではなく、一時はマニ教http://blogs.yahoo.co.jp/david_solomon2011/8564013.htmlと言う世界宗教として広まった時期もありました。
そして中世になって再びこのグノーシス主義の影響を受けたいたんが東方教会に現れました。
その名はボゴミル(ボゴミール)派
これは10世紀中ごろから14世紀末までブルガリアを中心にバルカン半島で信仰されたキリスト教の一派です。 善悪二元論と現世否定に特徴があり、正教会では異端とされました。 10世紀中頃に、ブルガリア司祭のボゴミルにより開始されました。 実は、ボゴミル派成立の前に、存在していたパウロ派と呼ばれる異端派があました。その起源は7世紀頃まで遡ります。
これはキリストの神性を否定した派であり、彼らはイエスは30歳のときにパプテスマを受けた時に初めて「神の養子」となったという 「キリスト養子説」を取っていました。
当然の如く三位一体説は否定しており、その代わりマニ教やマルキオン派からの強い影響が見られ、いわゆる善悪二元論を取っていました。 そして、東ヨーロッパの様々な教派の思想を取り込んで発展し、8〜9世紀頃には国家を造るまでになりましたが、この国も結局ビザンチン帝国によって滅ぼされます。 そして、彼らはその後も熱心に布教を続け、存続します。 パウロ派の一部は8世紀の初頭にビザンチン皇帝によってトラキア地方の辺境守備隊として移住させられた集団がおり、これがボゴミル派の祖であるというのが有力な説となっています。 ボゴミル派の開祖は、その名の通りボゴミルという村の司祭であったといわれます。930年頃のことといわれています。
ただ、これはボゴミルの0からの発明ではなく、もともとあった運動 (8〜9世紀の約100年間続く、東方正教会で起こった聖像破壊運動を 取り込み)発展させた有力な指導者と見られています。
ボゴミール派は独自の創造神話を説きました。
神には二人の息子がおり、一人はキリスト、もう一人はサタナエルという天使であった。
このサタナエルは「旧約聖書」の神と同一であり、もちろん真の神ではない。 サタナエルは、真の神の同意を得た上で、物質世界を創造したという。 サタナエルは暴君であり、邪悪な存在である。 真の神は天界と天使たちを創造した。サタナエルもこのときに創造された。
しかし、思い上がったサタナエルは神に反逆し、堕天する。 堕天したサタナエルは、混沌とした大地を整備して、地(物質世界)を創造した。
これは真の神の許可を得たうえでのことだったという。 サタナエルは土から人間を創造しようとしたが失敗した。そこで、サタナエルは真の神に協力を仰ぐ。
真の神は、いずれ人間を自分に返還することを条件に、これに協力する。 真の神は魂を創造し、サタナエルの土人形(肉体)に、これを吹き込むことによって人間を創造した。 サタナエルは暴君となって、過酷な支配を行い、この真の神の子でもある人間たちを苛め抜く。 「旧約聖書」にある流血沙汰、ノアの洪水などがそうであるという。 そこで、真の神はキリストを派遣して、人間を救済する。
イエスは神的な存在であったが、マリヤを通じて仮の肉体をまとった。しかし、 本来イエスは非物質的な存在であり、あくまで「肉体のようなもの」をまとっていただけだったという。 イエスは福音を説き、「言葉」である「聖霊」を人々に浸透させた。 サタナエルはこれを妨害する。十字架にかけられたのも、サタナエルの計略だったが、 もともと本当の肉体を持たないイエスにとっては、意味のないことであった。 イエスは仮に死ぬと、すぐに復活し、サタナエルを鎖で縛り、地獄に投げ込んだ。 この時点で、サタナエルは「エル」を失いサタナ(悪魔)に堕す。
任務を終えたイエスは天界に戻ると、自分の内に入った「聖霊」と共に、「父」と一体化する。
これで、「三位一体」という一時的にバラバラになっていた状態を終え、一つの神に戻った。 しかし、サタナは地獄から逃亡することに成功し、再び地上を支配するようになった……という。
だが人間は、このサタナの手から逃れることは充分可能である。 それはボゴミール派の説くイエスの教えを受け入れることであるという。
したがって、物質たるこの世はサタナエルによって支配されている邪悪な世界である。
この世に貧困や戦乱や病気といった災厄に満ちているのも、邪悪なサタナエルによって造られ、 支配を受けているからに他ならない。 東方正教会や皇帝などは、サタナエルの手先であり、邪悪な存在である。 ボゴミール派は、とにかく正統派とされる東方正教会派の教義を否定します。まず、彼らはサタナエルの作品である「旧約聖書」を聖典とは認めませんでした。モーセなどはサタナエルの手先であるといいきります。
さらに彼らは、聖像を認めず、十字架に至ってはキリストを殺害した処刑具であり、こんな物を崇拝するのはもっての他と断じたのでした。 ※ここが少し矛盾のように見えますね。旧約聖書を全否定して偶像を
否定する というのは、新約聖書より旧約聖書のほうがどれだけ
偶像を嫌っていたか。
また、キリストの受肉も否定され、 仮現説(イエスの肉体性を完全に否定する説。人間が目にしたイエスは、幻の如き存在であり、イエスは終始、霊的な存在であって、肉体をもつことはない)に近い教義をもっていました。 ミサなどの東方正教会の宗教儀式は全く無意味であり、 唯一正統な祈りは「主の祈り」だけとしました。
聖餐式のパンとワインは、もちろんキリストの肉でも血でもなくただの食品であるとしました。 洗礼についても、堕落した正教会の聖職者が自由意志のまだ無い幼児に洗礼をほどこすのは無意味であるとし、成人してから自分の自由意志で受ける、いわゆる「再洗礼」を行いました。 ※このあたりは現在のプロテスタントにも似ているところがありますね。 懺悔に関しても堕落した正教会の聖職者に行っても意味はなく、彼らはお互いの仲間どうしで懺悔しました。 金や富はサタナエルのものであり、したがって金持ちは救われない。信徒は貧しくあるべきと考え、粗末な衣服のみを着るべしとされました。さらに肉食や酒は禁止であり、婚姻も避けるべきこととされます。 だが、こうした厳しい戒律を全て守るのは、普通の農民や奴隷には難しく、「完全者」と呼ばれる 一部のコアな信徒がこれを行いました。 「完全者」には、元正教会の下級聖職者出身者が多く、彼らがボゴミール派の聖職、宣教師となりました。 このボゴミル派は、大きく2派に大別されます。
一つはサタナエルは真の神の被造物であり天使に過ぎず、最後の審判の日に地獄に投げ込まれる悪魔であるとする穏健二元論派です。彼らは、サタナエルは神の罰を受けて堕天し、「エル」を失いサタナ(悪魔)になったと考えます。 この穏健二元論派は、初期のボゴミール派の主流派であり、ブルガリアを中心に広まっていきました。 もう一つは、サタナエルは真の神と同等の力を持ち、両者の対立は未来永劫続くと考える絶対二元論者です。 これは時代が下がると徐々に力を増して行きます。 マケドニア地方に置かれたボゴミール派のドラゴヴィツァ教会が、 その中心でした。
この絶対二元論派は、東方正教会や権力者たちを激しく批判し、対立しました。 両派は、同じ境遇にあり、二元論以外の教義では一致が多かったので
、互いに容認しあう関係にあったらしい。
ただ、宣教活動は絶対二元論者のほうが熱心でした。 当然の如く、ボゴミール派は、東方正教会からもブルガリア帝国やビザンチン帝国からも激しい迫害を受けます。
その中には12世紀に起こったボゴミール派説教師バシレイオスの壮絶な殉教事件があります。
これは逮捕されたボゴミール派信徒達の前に、火刑台と十字架が置かれました。 ボゴミール派の教えを捨てて東方正教会に戻る者は十字架へ、あくまでボゴミールの教えに固執するなら火刑台へ行くべしと言われます。 数人の信徒は火炙りの恐怖に耐え切れず十字架に駆け寄ります。彼らは戒めを解かれ、 その場で釈放されました。
しかし、バシレイオスはそれを見ても己の信念を曲げず火刑台に進み、そのまま火炙りにされて殉教しました。 その後、ブルガリアがビザンチン帝国の侵略を受け、帝国に併合されると、彼らはレジスタンス運動とも結びつき、ビザンチン帝国の支配下でも激しい迫害を受けましたが、
彼らは衰えることはなく、かえって活動を活発化させました。 彼らは逆にビザンチンの帝国領の各地で宣教を行い、 その勢力はコンスタンチノープルにまでおよぶことになります。 やがてブルガリアがビザンチンの支配を脱した後も、彼らは活動を活発に行っていました。 しかし、14世紀頃から衰退が始まり、オスマン・トルコの侵略を受け、イスラムの支配下に入ると、彼らの大半はイスラム教に改宗し、ボゴミル派は事実上消滅してしまいました。 ボゴミル派全盛期に彼らはイタリアやフランスにまで遠征しました。
それによって、ボゴミル派は、後の西方カトリック教会の異端 カタリ派に大きな影響を与えることになりました。 |
ボゴミール派、名前に聞き覚えはありますが、ノーチェックでした。
後にプロテスタントが出てきた時、(ローマ)教会を否定し個人の信仰を強調するので、グノーシスの再興と見る向きもあったようです。
2012/11/8(木) 午前 2:17 [ ユダ・エフライム ]
ボゴミールですか…初耳でした…
サタナエルの話かなり無理のある設定だと思うのですが(^_^;)
面白いことには面白いです。
確かに、ハマる人はハマってしまいそうですね。
2012/11/8(木) 午後 2:02 [ Manasseh_0001 ]
ユダ・エフライム さん
プロテスタント教会に部分的にみれば
似ていますから、一瞬グノーシスっぽく見えたのかも
しれませんが、基本の教義まで否定しなかったことが
良かったですね。
旧約御父を劣る存在と言うのはちょっとね。
2012/11/8(木) 午後 4:25 [ David-Solomon ]
Manasseh_0001さん
このボゴミール派は、東方正教の異端というかんじですから
西方のカトリックにとってはこちらより、カタリ派という
異端組織のほうが馴染みかもしれませんね。
これもひとえに旧約聖書のうわべだけ見た
勝手な解釈から来た弊害でしょうね。
モーセが悪の手先とは、いくらなんでも・・・。
2012/11/8(木) 午後 4:27 [ David-Solomon ]