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婚外子差別―是正の機会を逃すな

生まれついた巡り合わせによる差別をこれ以上、放っておいてはいけない。結婚していない男女間の子の相続分を、結婚した夫婦の子の半分にする民法の規定は憲法にかなうのか。最高裁[記事全文]

原発論戦―大阪発の知恵を材料に

参院選で、自民党は公約から「脱原発依存」という言葉を消し去り、原発の再稼働に意欲を示している。これに対し、多くの野党は「原発ゼロ」を掲げる。だが、ゼロか否かの主張ばかり[記事全文]

婚外子差別―是正の機会を逃すな

 生まれついた巡り合わせによる差別をこれ以上、放っておいてはいけない。

 結婚していない男女間の子の相続分を、結婚した夫婦の子の半分にする民法の規定は憲法にかなうのか。最高裁がきのう、大法廷で弁論を開いた。

 違憲の判断や、判例を変えるときは大法廷でしかできない。最高裁はこの規定について、18年前に合憲とする決定を出したが、今回はその判断を改める可能性が大きくなっている。

 理不尽な差別をただす機会を逃してはならない。

 この規定は「家」制度をとる明治時代の旧民法から引き継がれた。法律婚の尊重と婚外子の保護のバランスを図ったものだと説明されてきた。

 しかし、出自は本人の意思や努力で変えられず、それを理由に差別するのは筋違いだ。家族のあり方や価値観が多様になった現代社会には通用しない。

 問題は、経済的な相続だけにとどまらない。婚外子が婚内子より社会の立場上、劣っているかのような差別の土壌をつくってきた面もある。

 相続はこの規定通りにしなくてはならないわけではなく、実際には家族ごとの意思で配分されている。だとしても、法律が当事者の判断に先んじて子どもを区別する必要はない。

 同様の規定をもっていたドイツやフランスなども法改正しており、先進国では日本だけが残った。国連の人権機関は、国際基準に反するとして政府に繰り返し勧告してきた。

 改めて問われるのは、問題を放置してきた国会の怠慢だ。

 法務省は96年、相続差別をなくす民法改正の要綱案をまとめた。だが一部国会議員が「男女の婚外関係を促すことになる」などと反対した。法案提出もされず棚上げされてきた。

 95年の最高裁の合憲判断には15人の裁判官のうち10人が賛成した。だが、その10人のうち4人は補足意見で、立法による解決への期待を述べた。その後の判断でも、小法廷が補足意見で法改正を促してきた。

 国会のだらしなさは、一票の格差をめぐる問題でも見飽きた光景だ。裁判所に違憲と言われないと動けない、言われても動きが鈍い。そんな国会では、正義を実現できる代表機関とは言いがたい。

 最高裁が法令を違憲としたのは戦後8件しかない。だが、少数者である婚外子の声は小さくとも、法の下の平等という重い価値が問われている。

 もはや司法による救済しかないのではないか。

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原発論戦―大阪発の知恵を材料に

 参院選で、自民党は公約から「脱原発依存」という言葉を消し去り、原発の再稼働に意欲を示している。

 これに対し、多くの野党は「原発ゼロ」を掲げる。だが、ゼロか否かの主張ばかりでは、必要な判断材料が有権者に示されているとは言い難い。

 選挙戦を前にした朝日新聞社の世論調査では、停止中の原発の運転再開に53%が「反対」と答えている。

 一方で、電気料金の値上げが生活や経済に与える影響を心配する国民も多い。自民党が再稼働に前のめりなのも、そんな空気を読んでのことだろう。

 新しい社会に向けて、どんな道をたどれば生活や経済への打撃を抑えつつ、原発を減らせるのか。野党はゼロへの手立てを具体的に論じ、有権者の声にこたえる必要がある。

 ぜひ、活用してほしいのが、2030年原発ゼロへの道筋をまとめた「大阪府市エネルギー戦略会議」(会長・植田和弘京都大学教授)の提言だ。

 大阪は、電力の半分を原発に依存してきた関西電力の大消費地である。大事故が起きて、水がめの琵琶湖が汚染されれば、「被害地元」ともなりうる。

 そこで橋下徹・大阪市長が脱原発への現実的な政策を示すよう10人の専門家に要請し、1年以上かけて提言をまとめた。ネットでも公開されている。

 ところが、橋下氏が共同代表をつとめる日本維新の会は国政進出後、脱原発の姿勢があいまいになり、公約に提言を反映しきれていない。

 戦略会議は府市の税金でまかなわれた。維新のために活動したわけではない。維新は提言をどう生かすのかを明らかにすべきだが、他の党も公約肉付けの参考にしない手はない。

 提言は、厳格な安全審査で廃炉をすすめる一方、2年以内に発送電分離と電力小売りの完全自由化を実現するよう、国に求める。多様な電源による競争で価格低下を促し、電気料金値上げに歯止めをかける。

 市場原理の重視も提案した。事故時の賠償への備えや廃棄物の処理費などのコストを電力会社に負担させ、普通のビジネスとして成立しなければ原発から撤退するという考え方だ。

 改革に伴う痛みへの手当てでは、立地自治体が原発依存から脱却する自立支援への交付金づくりを進言する。

 安全性や経済性にどう配慮しながら原発を閉じていくか。自民党が答えを示せないこの問題を野党が争点とし、論戦を深めるべきだ。

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