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イマドキ職場のギャップ解消法 高城幸司
【第78回】 2012年11月19日
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高城幸司 [株式会社セレブレイン 代表取締役社長]

遠距離通勤を否定されてノマドワーカーに転向!?
「カフェで仕事」を続けた若手営業の顛末

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 確かに業績は伸び悩んでいました。その打開のためにも外で企画を考えるプチノマドワーカーを試みたのですが、許されなかったようです。さらに注意を受けたあとに先輩から、

 「うちはチームで仕事することを大事にする会社なのだから、自分勝手すぎる行動は慎んでほしい。どうしてもノマドワーカーになりたいのなら、フリーランスになればいい」

 と突き放したような一言も。確かに会社のあるべき姿としてチーム一丸で仕事に取り組むことの重要性が謳われています。そこで、お互いの仕事ぶりが共有すること、アドバイスをしあうことを推奨。Fさんの行動は、こうした指針と逆行するような仕事ぶりにしか周囲には映らなかったのでしょう。

 振り返れば、Fさんもメールを上手く活用すれば自分勝手には見えない行動に仕立てられたかもしれません。ただ、それをせずに注意されてから反省しても後の祭り。このあとからFさんの行動は逐次、周囲から監視され、逆に“かごの鳥”のような状態にされてしまいました。

若手社員のうちは周囲のサポートが必要
ノマドの道は一本立ちできる状態になってから

・営業には誰かが同行するのが前提
・外出するときには上司に許可を得る

 新たに職場でできたこの指針には、Fさんも大いなるショックを受けたようで、本格的なノマドワーカーへの道を模索することを決意しました。そして求人を探していくとノマドワーカーが実現できそうな、

<在宅での仕事も可能。自分の時間を有効に活かせる仕事です>

 と書かれた求人をいくつか見つけました。ただ、よくよく職種をみるとデザイナー、プログラマー、クリエーターなど専門性が高く、かつこれまでの経験がないとできない仕事ばかり。現在のAさんが応募できる求人は1つもありませんでした。

 そこでようやくノマドワーカーを目指すには、自分の仕事力を高めなといけないことに気付かされたようです。そしてFさんは、通勤時間の長さに耐えるか?もっと近くに引っ越しをするか?を真剣に考えるようになりました。

 さて、時間をもっと自由に使いたいと考える若者はいまどき少なくありません。ただ、仕事の特性上、多くの人にとってそんな働き方をするのは難しいのが実情ではないでしょうか?なぜなら、若手社員のうちは、身近な上司や先輩からの指導がどうしても必要だからです。もちろんそうした時間を乗り越えて、一本立ちできる状態になれば、将来的にノマドワーカーになれるかもしれません。それまでは会社に出社して、修行を重ねるべきでしょう。

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高城幸司 [株式会社セレブレイン 代表取締役社長]

1964年東京生まれ。同志社大学文学部卒業後リクルート入社。営業現場では常にトップセールスマンに。96年独立・起業情報誌「アントレ」を創刊。事業部長・編集長を歴任。2004年に自ら独立をし、株式会社セレブレインを設立。経営・人事戦略コンサルティングを手がける。『営業マンは心理学者』(PHP研究所)など、著書多数。
株式会社セレブレインホームページ
高城幸司氏ブログ


イマドキ職場のギャップ解消法 高城幸司

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