厚生労働省は10日、企業が海外へ派遣した社員らを対象にした労災保険の給付上限額の引き上げを決めた。1月にアルジェリアで武装勢力が日揮社員を人質にした事件をうけ、海外派遣者の年収相当に給付額を引き上げてほしいとの要望が出ていたのにこたえる。ケガや病気、障害、死亡の場合に支払われる年金などの給付額をこれまでより最大で25%増やせる。9月から適用する。
厚労省の労働政策審議会は10日、海外派遣者への労災保険給付額を算定する基準となる「給付基礎日額」の上限額を、従来の2万円から2万5千円に引き上げることを厚労相に答申した。これを受けた省令を9月1日に施行する。
たとえば、海外派遣者が死亡した場合、遺族1人に支払われる年金額は給付基礎日額の153日分。これまでの最大306万円が382万5千円に増える。
2万5千円の日額を年収に換算すると912万5千円。厚労省の調べでは、ニューヨークやシンガポール、上海で働く社員の平均年収に相当するという。国内労働者への給付の最高限度額ともほぼ同じ水準となり、従来の格差が是正される。
労災保険は原則として国内の事業所が対象で、海外派遣者は任意加入にとどまっている。厚労省によると保険が適用される海外派遣者の数は約13万人で、事業所数では約8000(いずれも2011年度末)。海外派遣者の平均年齢は46歳。海外に進出できる大企業で比較的上位の役職に就き、給与も高い人が多いという。
海外派遣者の給与の高さに比べて労災保険の給付額が低いことが注目されたきっかけは、日揮の社員がテロの犠牲になった1月のアルジェリア人質事件。プラントメーカーの業界団体などから労災保険制度の見直しを求める要望が出され、政府も今春から有識者会合などで検討を進めていた。
給付額引き上げのほか、11月には海外派遣者の任意加入で派遣期間延長の際の変更届を不要にして、手続きも簡単にする。
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