──勘三郎さんは術後、肺炎にかかった
「手術によって誤嚥(ごえん=異物を気管に飲み込んでしまうこと)防止ができなくなり、消化液が肺の中に入って肺の細胞がやられました。何もしなければ1年以内なら体力はほぼ落ちず、亡くなることもあり得ません。(今年4月に始まった)新しい歌舞伎座のこけら落とし公演には十分出られたと思います」
──芸能リポーターの梨元勝さん(2010年8月死去、享年65)は肺がんで抗がん剤治療を受けていた
「体調不良を訴えて(10年5月末に)入院し、進行期の肺がんということで抗がん剤治療が始まりました。投与が進むなか、梨元さんは体調が悪化していく様子をツイッターでつぶやいています。そして数回目の投与の後、息を引き取りました。肺がんで症状が急激に悪くなることはなく、こういう亡くなり方は抗がん剤の影響以外ではあり得ません」
──がん死というと、スキルス胃がんのアナウンサー、逸見政孝さん(1993年12月死去、享年48)の印象が強烈だった
「手術でおなかを切り開き、胃を摘出すると傷口ができます。その傷口に腹膜、腹水中のがん細胞が潜り込みます。傷口を治すために体はいろいろな細胞を増殖させようとして、その流れにのり、がん細胞も一緒に勢いよく増殖してしまう。メスを入れただけでがんが広がることを、僕は『局所転移』と呼んでいます。スキルス胃がんで手術をしたすべての方が局所転移で命を縮めている、といっても過言ではありません」
《スキルス胃がんは、胃の粘膜から出たがん細胞が約5ミリの胃の壁を垂直に潜り込み、腹膜に達して腹部全体に広がっていくもの。この場合、5年生きる人はいないといわれている》