NHK北海道のニュース 札幌放送局
知床の海鳥 巣の数が激減状態
海鳥の繁殖地となっている世界自然遺産の知床の海岸で、ことしは海鳥の巣がほとんど作られていないことが地元の研究者の調査でわかりました。
専門家はこれほど巣が少ない状態は過去に例がないと話していて、今後の推移を慎重に調査していく必要があるとしています。
知床半島の海岸は、高さ100メートルを超える断崖が続き、毎年5月から8月ごろにかけてオオセグロカモメやウミウなど、多くの海鳥が岩場に巣を作って繁殖します。
例年、オオセグロカモメの巣が1000近く、ウミウの巣が500近く確認できるということです。しかし、地元で15年以上にわたって海鳥の生息数を調査している知床海鳥研究会の福田佳弘さんによりますと、ことしは海の上を飛ぶ鳥の姿は見られるものの、巣はほとんど作られておらず、海鳥の繁殖もほとんど見られないということです。
これについて、知床の鳥の生態に詳しい知床博物館の中川元元館長は「こんな状況は見たことがない。5月に雪が降るなど、ことしは天候が悪かったが、知床では珍しいことではなく、原因はわからない。ことしだけの現象か、長期的に続く可能性があるのか、慎重に調査を続ける必要がある」と話しています。
07月10日 17時18分