WRESTLE−1
◇東京ドーム◇2003年1月19日(日)◇18:00 ◇観衆 4万5371人

ホーストがプロレスでサップに勝った!

 メーンイベントでは、アーネスト・ホースト(37=オランダ)がボブ・サップ(28=米国)から3カウントを奪い、プロレスのリングで雪辱を果たした。また、セミファイナルでは、ビル・ゴールドバーグ(36=米国)がスピアーからのジャックハマーで、クロニックに快勝した。東京ドームの常設のビジョンに加え、5枚の特設ビジョンを追加して演出されたW−1は、プロレスの新たなる可能性をまたしても見せつけた。

写真=K−1王者ホースト(上)がサップにSTF(撮影・中島郁夫)

▽第9試合 60分1本勝負
×ボブ・サップ5分15秒
横入り式エビ固め
アーネスト・ホースト○
 最初にホーストが「アーネスト・ビースト」として入場。昨年11月のW−1でサップの登場シーンそのままに、ダンサーを従え、黒のロングパンツでマドンナの「ホリデー」をバックに入場してきた。一方のサップは、愛くるしいテーマ曲に乗り、何と天使をイメージして、エンジェル・サップとして東京ドームの天井からリングに舞い降りた。入場は好対照の2人だったが、意地を真っ正面からぶつけ合ったプロレスを展開した。サップはビーストを抱え上げ、コーナーに走りながら叩きつけ、ビーストは何とコブラツイストをサップに決めた。試合は、ビーストのピンチにセコンドのヨハン・ボス会長が乱入。サップがこれに気を取られる間に、ビーストがイスをリングへ。このイスでサップの頭を一撃。ふらつくサップに対して、一瞬の横入り式エビ固めを決め、ビーストが3カウントを奪った。試合後にマイクを奪ったホーストは、「ボブ、さよなら」と一連の抗争に決着をつけた。
▽第8試合 60分1本勝負
武藤敬司
○ビル・ゴールドバーグ

 
17分57秒
片エビ固め
ブライアン・アダムス
ブライアン・クラーク×

(クロニック)
 音信不通となっていたゴールドバーグ。クロニックが入場し、さらに武藤が入場しても、ドームに姿は見せなかった。しかし、大型ビジョンがドームの外を映し出すと、テーマ曲が鳴り響き、屈強なボディガード2人に囲まれたゴールドバーグが、徒歩でドームに到着。カメラは、歩き続けるゴールドバーグを控え室まで追いかけ、観衆は画面で姿を追い続けた。一段とデーマ曲のボリュームが上がり、ついに控え室を出たゴールドバーグは、10分以上もリングで待ち続けた武藤らの前に、火の粉の中から現れた。試合は、待たされ続けたクロニックがペースを握る。場外乱闘でもパワーを全面に押しだし、武藤を中心に攻め続けた。遅れてきたゴールドバーグだが、体調は万全。武藤からタッチを受けると、アダムス、クラークを吹き飛ばし、さらに腕ひしぎ逆十字まで繰り出した。再びクロニックにペースとなったが、武藤のシャイニングウィザードでクロニックの分断に成功、すかさずゴールドバーグがスピアーからジャックハマーにつなぎ、クラークから3カウントを奪った。
▽第7試合 60分1本勝負
○橋本真也5分34秒
逆エビ固め
ジョー・サン×
 まったくシェイプアップされていない体に、何とTバックで現れたジョー・サン。13日の全日本・大阪大会でムタに浴びたのと同じ赤い毒霧を食らった橋本は怒りが爆発した。雄叫びを上げながらのケサ斬りチョップで連続ダウンを奪う。さらに納得のいかない橋本は、払い腰、STOから、逆エビ固めでサンを絞り上げ、アッという間にギブアップを奪った。橋本は快勝ながら当然、不完全燃焼。終了とともにマイクを握ると「なめるなよ、武藤敬司。全日本コノヤロー、叩きつぶすぞ」と全面対決モードにさらに拍車をかけた。
▽第6試合 60分1本勝負
○マーク・コールマン
ケビン・ランデルマン
11分48秒
ウラカンラナ
ヤン・ザ・ジャイアント・コンビクト
シン・ザ・ジャイアント・コンビクト×
 不気味なテーマとともにコンビクトは入場。かつて日本プロレスで暴れたコンビクト同様に、マスクに横縞の囚人服で登場した。ともに230センチと称する囚人組のパワーは圧巻。PRIDEのリングで暴れるコールマン、ランデルマンを完全にパワーで圧倒した。試合途中に、コスチュームを切り裂き、マスクを脱いだシンは、コールマンをバックフリップで投げ捨て、マスクを脱いだ金髪のヤンは河津落としを繰り出した。そのパワーの前に大苦戦を強いられた米国組だが、2人の連携でシンを岩石落としで投げきり、ペースをつかむかに見られた。しかし、ランデルマンがのど輪落としを受け、リング下に転落。コールマンも高角度のパワーボムの連発を浴び、再び追い込まれたが、勝負を決めに来たシンの3発目のパワーボムをコールマンが何とウラカンラナで切り返し、勝利を手にした。
▽第5試合 60分1本勝負
小島聡
○馳浩

 
10分58秒
北斗原爆固め
テリー・ファンク
ヒース・ヒーリング×

(ニューテキサスブロンコス)
 入場から両チームが沸かせた。小島のバックには「いっちゃうぞー」の巨大文字。馳のコールのバックでは、国会議事堂の周囲を議員バッヂが飛び回った。ニューテキサスブロンコスのテーマは、やはり「スピニング・トゥ・ホールド」。この日、一番の大歓声が巻き起こった。試合に入っても、4人が魅せた。小島はリフトアップして、テリーを場外へ投げ捨て、馳はヒーリングをジャイアントスイングで20回以上も回した。ニューテキサスブロンコスは、多少のぎこちなさを見せながら、スピニング・トゥ・ホールドの「競演」を決めて見せた。一進一退の攻防が続いたが、最後は、小島の豪快な右ラリアットから馳の北斗原爆固めにつないで、ヒーリングからファールを奪った。東京ドームの大画面を上手く取り込んだ演出は、W−1ならではのものとなった。
▽第4試合 闘龍門MEXICO Presents(60分1本勝負)
○ウルティモ・ドラゴン
カズ・ハヤシ
17分40秒
飛龍裸絞め
ウルティモ・ゲレーロ
レイ・ブカネロ×
 ルチャの雰囲気が東京ドームに充満した。試合は、タッチワークに勝るゲレーロ組がペースを握る。序盤は完全にカズ、究極龍組を分断し、常に2対1の状況で攻め込んだ。さらにラリアットや雪崩式パワーボムなどパワー殺法でも上回り、日本人組は窮地に追い込まれた。カズのトペ、ドラゴンのコーナーポストからのウラカン・ラナと大技は繰り出すが、単発に終わり、苦戦を強いられたが、最後はきっちりとカズが場外のゲレーロに豪快なトペを浴びせ戦闘不能に追い込む間に、ドラゴンがブカネロを仕留めた。
▽第3試合 60分1本勝負
○ケンドー・カシン12分28秒
雪崩式飛びつき
腕ひしぎ逆十字固め
サブゥー×
 黒い呪術師ブッチャーを師と仰ぐカシンが、アラビアの怪人ザ・シークの血を引くサブゥーとW−1のリングで対戦した。両者ともにラフファイトは見せるが、テクニックの攻防が中心。カシンは、ラリアットをワキ固めで切り返し、サブゥーはフランケンシュタイナーを繰り出した。中盤、場内の声に後押しされるかのように、イスを取り出したサブゥーが攻勢に出る。場外で倒れるカシンに向け、イスを踏み台にトップロープからフライングボディアタックを決め、さらに机にカシンを叩きつけた。一度は失敗したコーナーポストからのフランケンシュタイナーを決め、一気に試合を決めるかと思われたが、カシンはサブゥーのスキを見逃さず、最後は雪崩式の腕ひしぎ逆十字を決め、タップを奪った。70〜80年代に全日本のリングを舞台にタッグを組み、そして抗争を繰り広げたブッチャーvsシーク戦が、世代を越え、W−1で甦った一戦となった…。
▽第2試合 闘龍門MEXICO Presents(60分1本勝負)
アンソニー・W・森
ヘンリー・III世・菅原
○石森太二
13分18秒
ウラカンラナ
ミラノコレクションA・T
YOSSINO
コンドッティ修司×
 T2Pが抜群のレスリングセンスを東京ドームの観客に見せつけた。会場からは、絶え間なく女性からの「ミラノ〜」「ヨッシー」といった声援が飛ぶ。それに呼応するかのように、選手たちも素速いタッチワーク、飛び技、関節技を繰り出していった。特にミラノが見せたセカンドロープを蹴ってのムーンサルトには、「おっ〜」というため息が会場を包んだ。一進一退の攻防が続いたが、最後は日本デビュー戦となる石森が超高速のウラカンラナを決め、勝利を手にした。
▽第1試合 60分1本勝負
○アブドーラ・ザ・ブッチャー
 
7分35秒
体固め
SATA...yarn×
(さたやん)
 11月のW−1横浜アリーナ大会に続いて、開幕カードは、ブッチャー対SATA...yarnの対戦となった。前回同様に黄金のガウンで入場してきたサタヤンだが、いきなり花道でブッチャーの襲撃を受けた。どうにかリングに戻ると総合格闘技で鍛えたハイキックを連発、ブッチャーの額を叩き割り、ペースをつかむ。傷口へのチョップ、5分を過ぎてようやく脱いだ黄金のガウンの腰ひもでブッチャーの首を絞めるなど、徹底したヒール攻撃を続けた。さらにサタヤンは、大型のタライ攻撃を繰り出したが、ブッチャーはこれを耐えきり、カウンターの地獄突き。ダウンを奪うとすかさず毒針エルボーを決め、佐竹に連勝した。勝利後にマイクを奪い、「僕のベスト・フレンドのザ・シークが亡くなった」と亡き友人への惜別の言葉を贈った。第5試合には、全日本プロレスのリングで抗争を繰り広げたテリー・ファンクも登場する。


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