債券は続伸、需給引き締まりや株安受け-日銀買いオペ見送りで売りも
7月10日(ブルームバーグ):債券相場は続伸。今週は主要な国債入札がないことから需給が引き締まるとの観測や国内株安を背景に買いが優勢となった。一方、日本銀行が長期国債の買い入れオペを見送ったことで一時的に売りが膨らむ場面もあった。
東京先物市場で中心限月の9月物は前日比9銭高の142円47銭で開始。午前10時10分の金融調節で日銀が長期国債買い入れオペを見送ると売りが増え、一時は横ばいの142円38銭まで伸び悩んだ。その後は持ち直し、午後の取引終盤に株価 が下げ幅を拡大すると142円64銭まで上昇。結局は25銭高の142円63銭と、きょうの高値圏で引けた。
現物債市場で長期金利 の指標となる新発10年物国債の329回債利回りは同1ベーシスポイント(bp)低い0.855%で開始し、午前10時10分の金融調節でオペが見送られると0.87%に上昇した。その後は0.86-0.865%で推移し、午後2時半すぎから再び0.855%。5年物の112回債利回りは0.5bp低い0.31%。20年物の145回債利回りは一時1.75%に上昇したが、午後3時前後には0.5bp低い1.735%に低下し、その後は横ばいの1.74%。30年物の39回債利回りも1.885%に上昇していたのが、午後2時半すぎから横ばいの1.87%で推移している。
パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は、先物近辺の7年ゾーンが相対的に強い半面、超長期債は日銀買いオペが入らずに「失望から甘いという感じ」だったと解説。もっとも、日銀買いオペについては「金曜日に入ると思うので別に焦って今売る必要ない。押したところで買っておいてもいいのかなという感触」とも話した。
長期・超長期の主要な国債入札は25日の20年債までなく、足元の債券市場の需給環境は良好となっている。SMBC日興証券の末沢豪謙チーフ債券ストラテジストは「今週は堅調な結果となった昨日の流動性供給入札を除けば、利付国債の発行はないことから、国債需給はタイトだ」と説明した。
日銀会合とFRB議長講演10日の東京株式相場は反落。中国の貿易統計で輸出入がともに市場予想に反して減少したことを受け、中国の景気減速懸念が強まった。TOPIX の終値は前日比0.1%安の1195.20、日経平均株価 は0.4%安の1万4416円60銭だった。
日銀はあす、10日から開催の金融政策決定会合の結果を発表する。金融政策については、現行の金融政策の据え置きが決まる見込み。ブルームバーグ・ニュースがエコノミスト20人を対象にまとめた予想調査では、19人が現状維持を予想した。一方、景気判断を前月の「持ち直している」からもう一段引き上げ、「緩やかに回復」という表現を使うことを検討する見通し。
パインブリッジの松川氏は、「日銀の決定会合は特に重要視されていない」とし、目先は「今晩のバーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演と米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録で何か波乱があるかどうか」が注目だと話した。
バーナンキ議長は6月18、19日に開いたFOMC後の会見で、米経済が当局の予測通りに回復を続ければ、年内に債券購入の規模を縮小し始め、来年半ばまでに購入を停止する可能性があると述べた。この日は同FOMC会合の議事録が公表される。
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更新日時: 2013/07/10 16:05 JST