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HOME > 文部淫画省 > 鬼畜文学選集 > 「懐人23面相」

「懐人23面相」

作 九尾きつね


 今やまさに、インターネットの時代である。
 パソコン画面の向こう側には、夢と希望と便利さと・・・膨大な情報量の未知なる世界が広がっている。
 そう・・・、『あなたの知らない、不思議な未知なる世界』が・・・。
 そして、多くの人々は、その恩恵により明るい未来と生活を楽しんでいた。
 しかし、明るさのあるところ、常に暗闇も存在する。
 その暗闇にうごめくもの達もまた存在したのだ。
 犯罪を犯す者達である・・・。
 カチ。カチ・・・カチ。
 今ここにも、そのインターネットの恩恵を楽しんでいる一人の女の子がいた。
 彼女の名前は、浅井可奈子。17歳の高校生である。
 可奈子はマウスのクリックひとつで、次から次へと画面に出てくる未知なる情報の数々に魅せられていた。
 カチ。カチ。・・・カチ。
 側に置いてあるラジオから、午前2時を知らせる時報がなった。
「いけない、もうこんな時間だ。今日も学校があるんだったわ。・・・でも・・・もう少しやってみよう・・・」
 カチ。カチ。・・・カチ。
 可奈子のネットへの旅は、いつしか禁断のアダルトサイト(HP)へと、入り込んでしまっていた。
「す、すごい・・・」
 マウスを動かす右手がピタリと止まる。
 可奈子の目は画面上に映し出された映像に釘づけになった。
 そこには、可奈子と同じ年齢と思われる女の子が映し出されていた。
 彼女は全裸の身体を縄で縛られている。
 細い首には犬が付けるような首輪がはめられていて、手綱が画面の外側へと伸びていた。
 脅える彼女を取り囲むように数人の男達が画面の外側から現れる。
 男の一人が手綱を持っているので、彼女は逃げることが出来ないようだった。
 男たちの手には、ロウソク、バイブ、浣腸器、鞭などが握られている。
「これって・・・もしかすると・・・SMのHP・・・?」
 可奈子は唾をゴクリと飲み込み、画面上で繰り広げられ始めたSMの宴を眺め続ける。
 いつしか可奈子の左手は、自分のヴァギナをパンティの上からなぞっていた。
「は、は、ぁ・・・う・・・ん・・・」
 中指と薬指の腹が、ヴァギナの割れ目にそって下から上へとゆっくりと滑らせていく。
 続いて上から下へ・・・。指による往復の動きが続く。
 ツツツ・・・。ツツー、ツツツー・・・。
「あ・・・あ・・・は・・・ぁ・・・は、あぁぁ・・・」
ツツー、ツツツー・・・。
「は・・・あ・・・い・・・いい、・・・ん」
 可奈子の口から洩れる喘ぎ声は、画面の中で責められる少女が洩らす、喘ぎの声と同じになっていく。
 はいているパンティの生地が、濡れてきているのがわかる。
「い、いい・・・。・・・は、ぁぁ・・・。あ、あたし・・・こんな・・・いやらしい・・・おんなの・・こじゃ・・・ないのに。・・・どうして・・・ゆびが・・・と、とまらない・・・の?・・・ああん、だ・・・だめ・・・」
 17歳になる可奈子であるから、もちろん自分自身でオナニーをすることはある。
 いつもは軽く感じて終わってしまうオナニーが、今日のは全然違う。
 今までとは違う感じが可奈子の身と心を攻め立てている。
「ひ・・・い・・・は、う・・・んん・・・あ・・・」
 可奈子が、エクスタシーへの坂道を上り続けているとき、画面上に『開く』の文字が浮かび上がり、その下に「ここをクリックすると、あなたは不思議な世界に入ることが出来ます」と、説明が出る。
 それを目にした可奈子は、今以上の何かを求めたのか、無意識のうちにマウスを『開く』に合わせるとマウスのスイッチを押した。
 すると、今まで映っていた映像が溶けるように消え去り、黒い画面にひとりの男の顔が映し出された。
 20代、30代とも見分けのつかない年齢の顔だち。もしかすると40代か・・・?。
 小さな口髭を左右に生やしている。目は突き刺すような冷たい目をしている。
 しかも全体的に作り物のような感じの顔立ちだ。・・・そうCGかなにかの。
 股間に這わせていた指の動きを止め、可奈子はいぶかしげに画面上に見入った。
 画面の中の男は左手を可奈子の顔に向けた。人差し指に小さな形の指輪がはめられている。
「お前は、浅井可奈子だな」
 突然、画面上の見も知らない男から、自分の名前を呼ばれた可奈子は、思わず自分の耳を疑った。
「え?」と驚きの声が出る。
 男がニヤリと笑う。
 気味が悪くなった可奈子は急いでパソコンの電源を消そうとした時、シュウウウウー、と男の指輪からガスが発射され、可奈子の顔に浴びせかけられた。
「うぐっ!」。ドサッ。可奈子は一瞬めまいを起こして床に倒れ込んだ。
 どれだけ倒れていたのだろうか?・・・誰かが、可奈子の身体を触っているのがわかる。
 乳房を掴むように荒々しく揉んでいる・・・痛い。
 ヴァギナを撫で回している・・・あ、クリトリスの頭を触っている・・・だめ、ヘンになっちゃう。
 可奈子は「はっ!」として意識を取り戻した。
 可奈子の目の前に、画面上に映っていたあの男がいた。
 いや、可奈子の身体の上にのしかかっていたのだ。
「!」。
 可奈子は悲鳴を上げようとしたが、どういう訳だか声が出ない。いや口が動かないのだ。
 それどころか逃げようとするその身体が・・・、正確には両の手足が根元からまるで無くなってしまったかのように感覚が無くなり、動かすことが出来ないのだ。
「今のお前は、動くことも、叫ぶことも出来ないのさ」
 男は可奈子から身体を離した。全身黒ずくめの服を着ている。
 すぐに可奈子は自分の身体の方に目を移した。
「ひっ」と出すことの出来ない悲鳴を上げた。全裸の姿だ!。
 着ていた衣服は、ナイフか何かで切り刻まれて、可奈子の横に捨てられていた。
 男はズボンのチャックを下ろすと、中から大きく膨らんだ男根を引っ張り出した。
「くくくく・・・。では、一仕事の前に楽しませてもらおうか」
 男は跪くと、可奈子の両脚を持って左右に開いた。
 可奈子の薄い陰毛と共にヴァギナの口が男の目にさらされる。
「アダルトのHPを見て、オナニーをしているわりには綺麗なオマンコだな。てっきりオナニーのやり過ぎで、ここが黒ずんでいるかと思ったぜ。可奈子ちゃん、へへへへ・・・」
 男は可奈子が耳をふさぎたくなるような卑猥な言葉をしゃべり、可奈子の脅える心をいたぶった。
「さてと、俺も暇じゃないんで、さっさとやってしまうとするか」
 男は勃起した男根を、可奈子のヴァギナにあてがう。
『いやっ。やめてっ。たすけてぇ!』
 可奈子の出すことの出来ない叫び声が、心の中で響き渡る。
 ズニュウゥゥゥ!。
『うぎゃっ!』
 男の勃起した男根が、脅えて縮こまっている可奈子のヴァギナを、強引にこじ開け侵入をしていった。
 可奈子は男根を初めて受け入れた痛さで小さな痙攣を起こした。
 男の使ったガスは、手足や声帯、その他身体の神経を麻痺させる効果があった。
 その一方で性感帯の神経をより敏感にする効果も持ち合わせていた。
「お。これは、初モノだったか。くくく・・・」
 処女喪失の証となる一筋の鮮血がヴァギナから流れるのを見て、男は笑みを浮かべた。
 可奈子は叫ぶことも、呻くことも出来ない代わりに、大きく見開いた目から涙が止めどもなく流れ落ちた。
 ズニュッ。ズニュッ。ズニュッ。
 男が腰を動かし始める。
 ズニュッ。ズニュッ。ズニュッ。ズニュッ。ズニュッ。
『やっ・・・。いたいっ。やめ・・・てっ』
 可奈子は心の中で叫ぶ。
 男によって傷つけられたヴァギナ内の膣壁が、男根の摩擦で傷口を刺激する。
 ズニュッ。ズニュッ。ズニュッ。
 『だめ・・・。も、もう・・・ゆる、し・・・て・・・。う、・・・うう。』
 ヴァギナから伝えられる傷の痛みに耐えながら、可奈子は何とか男に許しを請おっとしたが、それは無駄であった。
 男は、可奈子の苦痛に歪むそんな表情を楽しんでいるようであった。
「へへへ。やはり初モノは締まりがいいな」
 ニュチュ。ニュチュ。ニュチュ。ズチュ。ズチュ。
 可奈子のヴァギナの奥からは、いつしか湿りのある音がしてきた。
 ズチュ。ズチュ。ニュチュ。ニュチュ。ニィチャ・・・。
 「へへへへ・・・。気持ちよくなってきたのかな? いい音がマンコからして来ているぞ」
 男は可奈子の耳元でそう言うと、腰をより烈しく前後に動かし出した。
 ヌチャ。ヌチャ。ヌチャ。ヌチュ。ヌチャ。
 ズチャ。ズチャ。ズチャ。ズチャ。ズチャ。
 男の腰の動きが速くなってくる。
 ズチャ。ズチャ。ズチャ。ズチャ。ズチャ。
 ネチャ。ネチャ。ネチャ。ネチャ。ネチャ。
 男は「うっ」と小さく呻きを上げると、腰を小さく震わせた。
 その瞬間、可奈子のヴァギナの中に男の熱い精液が勢いよく流れ込んでいった。
 可奈子の頭の中は何も考えられずにいた。
 とにかくこの地獄のようなことが早く終わってくれることを願っていた。
 思いを遂げた男を見て、可奈子は内心『ホッ』とするものを感じたが、次の瞬間、男が可奈子の身体をうつ伏せにして、肛門に指を入れて来たのを感じたとき、より一層のおぞましい行為を強制されることに気がついた。
『だ、だめっ。・・・そこは、やめてぇ!』
 「くくく。さて、第2ラウンドだ」
 男の男根の先端がわずかに開かれたアナルの中へと押し込まれていく。
 可奈子の耳に、メリメリとアナルを押し拡げる音が聞こえた。
 可奈子の身体に激痛が走り抜ける。
 可奈子の背筋が電気が流れたかのように反り返った。
『うぎゃぁぁぁぁーっ!』
 心の中での悲鳴と共に、可奈子の意識が遠ざかっていき、暗闇の中へと落とされていった。
「けっ。もうダメかい。根性の無い牝犬だぜ」
 男は吐き捨てるように呟いた。
『あれからどの位たったのだろうか?・・・私は生きているのだろうか?、それとも死んでいるのだろうか・・・? 何だか、空中を漂っているみたいな感覚だ。・・・私のアソコとお尻の辺りがムズムズする・・・。何かくすぐったいような・・・。くすくす・・・へんな感じ・・・。ふと、横を見る。あの男の顔が・・・。私を見て笑っている。「いやぁぁぁぁっ!」・・・』
 可奈子の手足がぴくぴくと痙攣をして意識が覚醒する。
 可奈子は「いやっ!」と声を発すると、脅えた表情で現実の世界にもどってきた。
 身体が反射的に起きあがろうとして、両手に力を入れ上半身を持ち上げる。
「え?」
 可奈子の目に数人の警察官や刑事達の姿が飛び込んでくる。
 可奈子は回りを見渡す。裸の姿の可奈子のまわりは、白いテープで縁取りをされていた。
 死体を現す・・・あれである。
 鑑識官が可奈子のヴァギナとアナルにスポイトを入れ、あの男の精液を採取していた。
 刑事達はパソコンの他、可奈子の机の中まで調べている。
 それどころか、クローゼットの中の衣服や、ブラジャーやパンティをしまっている場所までも・・・。
 可奈子が何かを言おうとした時、刑事の一人に背中を踏み付けられ床にうつ伏せにさせられた。
「こらっ、勝手に動くんじゃないっ」
 踏み付けた刑事が怒鳴る。
 その声を聞いて、二人の男性が可奈子の側に近づいてくる。
 可奈子は顔を上げる。
 一人は刑事のようだ、もう一人は・・・可奈子の父親だ。
「パパ」。可奈子は、ホッとする気持ちで父親を呼んだ。
 目からは自然と涙が出てきた・・・安心感という涙が・・・。
 可奈子の呼びかけに対して、父親は思いもかけない対応で答えた。
 「このっ、役立たずの牝犬がっ!」
 ドカッ!。可奈子の脇腹に、父親の蹴りがヒットする。
 「きゃっ」。
 可奈子は蹴られた脇腹を押さえてうずくまり、父親の顔を信じられないといった気持ちで見上げた。
 『なぜ? どうして、パパに蹴られないといけないの?』
 ドカッ!。再び同じ場所に父親の蹴りが入れられる。
 「このバカ犬が、何のために飼っていたと思うんだっ!」
 「きゃっ!。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。パパ、ごめんなさい・・・」
 父親に蹴られ続けた可奈子は、何が何だかわからなかったが、とにかく自然と口から、謝罪の言葉が出ていた。
 この言葉を言うことによって、この苦痛から逃れることが出来ると、無意識のうちにそう思ったからだ。
 だが、可奈子にはなぜ父親がこんなにも怒っているのかわからなかった。
『昨日まであんなに優しかったパパが・・・。今まで一度も私を蹴ることなんて無かったのに・・・いったいどうしたって言うの?。それに・・・それに、自分の娘がレイプされたというのに心配していないの?』可奈子にとって、今起こっている事は、理解しがたい事の連続であった。
「まあまあ。浅井さん、落ち着いてください」
 一緒にいる中年の刑事が可奈子の父親を制止する。
「そう言われましても、この役立たずのせいで・・・宝くじで当選した10億円がごっそりと盗まれてしまったんですよ。・・・何のためにこいつを飼っていたのか?・・・くそっ」
 父親は、早口で刑事に不満をまくし立てた。
『え? 宝くじの10億円? 私を飼っているって?。・・・いったいどういうこと?、・・・初めて聞く事ばかりよ・・・』
 可奈子は何が何だかわからず、ただ呆然とするだけだった。
「・・・しかし浅井さん、服を着せて家の中で飼っていると、いくら牝犬奴隷といえども、本来の自分の使命を忘れてしまうんじゃありませんか?」
「はぁ・・・」
 刑事の言葉に、可奈子の父親はため息混じりに頷く。
「最近多いんですよね。牝犬奴隷を家族の一員みたいにして、家の中で飼っている家庭が・・・。やはり牝犬奴隷は、全裸にして玄関先に鎖でつないでおかなくちゃ。」
 中年の刑事がそこまで話したとき、パソコンを調べていた若い刑事が振り向いて言った。
「銭山平太郎刑事、犯人が侵入してきたと思われる経路のデーターは、消されていますね。」
「やはりそうか・・・。犯人は『懐人23面相』と見て間違いないな」
銭山刑事は腕組みをして頷いた。
 懐人23面相・・・インターネットの普及にともない忽然と現れた謎の怪盗である。
 彼はインターネット上のネットサーフィンによって、目標とする所のパソコンの画面上からその身体を出現させたり、またその画面上に戻って逃げる事が出来る身体と方法を身につけているのである。
 彼が出現する時は、必ず画面上にその顔を表すのだが、その顔の特徴は目撃者ごとに違っていた。
 ただひとつ一致していたのはどの顔もCGのような作りの顔立ちだったとの証言であった。
 だから誰一人、彼の本当の素顔を見た者はいないと言ってよかった。
 しかも彼は、KTT(鬼畜主義人民共和国電信電話公社)のインターネット深夜時間サービスの午後11時(23時)以降に必ず出現するのである。
そのうえ出現した経路のデーターは、逃げるさい証拠が残らないように、尽く破壊していくのである。
 その為、警察官の間でいつしか彼のことを「懐人23面相」と呼ぶようになった。
 それは、多くの顔を持つ謎の男が23時以降に出現し、データーを破壊して逃げて行くという意味でこう呼ばれた。
 そして銭山平太郎刑事は、懐人23面相を追跡する捜査本部の一人であった。
 そんな銭山刑事に若い刑事が気になることをそっと囁いた。
「わずかに残っていたデーターを調べたところ、どうもこの牝犬奴隷のやつが犯人をこの家に呼び込んだみたいなんですよ」
 銭山刑事の目が可奈子の姿をとらえる。
「呼び込んだ?・・・まさか共犯者・・・?」
「その可能性も出てきました。犯人がどうやってこの家のパソコンに入って来たか、あの牝犬を調べる必要がありますね」
 銭山刑事は可奈子の父親にその事を告げると、最初驚いた表情を見せた父親は、銭山刑事に向かって「わかりました。この牝犬奴隷の可奈子を徹底的に調べてください。何日かかってもよいですから」とはっきりと言った。
 ガチャン!。ガチャン。ガチャ!。
 銭山刑事の合図を受けた刑事が、可奈子の両手を背中に回して手錠をかけた。
 もう一人が可奈子の両方の足首にも足枷をかける。
 首には引き縄が付いた首輪が付けられる。
「さっさと来いっ!」
 刑事が可奈子の首輪の縄を強く引っぱる。
 バランスを崩した可奈子は床に倒れ込む。
 ドサッ。「きゃっ」
「何をしている。来いっ!」
 刑事は、首輪の縄をぐいぐいと引っぱり、倒れている加奈子の身体を引っぱっていく。
「ぐっ。く、くるしい・・・よ。・・・たすけて」
 可奈子の口から、苦しみの声が洩れる。
 裸の全身に玉のような汗が噴き出してきた。
 銭山刑事は、二人の警官に可奈子の腕を持って連れて行くように言った。
 息が詰まりせき込む可奈子は、警官に両脇を抱えられ、パトカーの所へと連れて行かれた。
 玄関の所で、二人の弟たちと目が合う。 
 可奈子が何かを言おうとした時、弟の一人が「ぺっ」と顔に唾を飛ばした。
「このバカ犬が!」
「お前なんか、もう帰ってこなくていいぞっ!」
 可奈子を罵倒する弟たちの言葉を聞いて、可奈子は唇がワナワナと震える。
『な、なぜ、そんなこと言うの? 私たち姉弟でしょう?』
 加奈子は泣きそうな顔で、弟たちの後ろに立っている母親に視線を移す。
 次の瞬間、可奈子は「ぎょっ」として、母親のある一点に視線が集中する。
 悲しそうな表情で可奈子を見ている母親の首には、太い犬の首輪がはめられていたのだ。
 ガチャ。パトカー後部のトランクが開けられた。
 見ると、トランクの内部のあちらこちらに血痕が付いている。
 それを目にして立ちつくす可奈子に、刑事が説明をする。
「その血痕は、このあいだ連行した牝奴隷の血だ。連行の時にあまりにも「ぎゃーぎゃー」と騒いだので、ボコボコにしておとなしくさせた時に付いた血だ。お前ら牝奴隷を連行する時は、このトランクに入れて行くんだよ。」
 可奈子は言いしれぬ恐怖を感じる。
 ガタガタと震える可奈子の目が、パトカーのボディーに書かれた警察の名前をとらえた。
『鬼畜主義人民共和国警察・・・え?・・・なに?・・・ここは・・・日本じゃないの?・・・そんなはずはないわ。昨日までちゃんと、私、日本の高校に行っていたし・・・日本に住んでいたし・・・こんなことって・・・これって、夢よね・・・夢・・・』
 可奈子は今の状況がどうしても信じられずにいた。
 パシーン。頬に強い平手打ちを受ける。
『痛い!』
 可奈子は唖然とした顔で、横にいる刑事を見やる。
『そ、そんな・・・痛いなんて・・・こ、こ、ここは・・夢の中じゃ・・・ないの?・・・そんな事って・・・』
「何をバカずらをして見ているんだ。さっさとトランクの中に入れ。署に着いたら、徹底的にお前を調べてやるからな。楽しみにしていろよ。」
 刑事は笑いで口元をゆがめながら、可奈子に告げた。
 頭の中が真っ白になり、もう何も考えることが出来なくなった可奈子を、警官はパトカーのトランクの中へ放り込み、「バタン」と扉を閉めた。
「では。容疑者の牝犬奴隷を署に連行します」
「ああ。私はもう少し現場に残って、証拠調べをしてから署に戻るから」
 銭山刑事はパトカーに乗り込む刑事にそう伝えると、急発進したパトカーを見送った。
 銭山はその時、トランクの中で可奈子が「ゴツン」とトランクの角に身体をぶつけて、低く呻き声を出すのを聞いたような気がした。
 銭山平太郎刑事が警察署に戻ったのは、日がとうに沈み夜になってからであった。
 銭山刑事は、上司に捜査の報告をした後、その足で警察署の地下の取調室へと降りていった。
 地下の取調室は、牝奴隷専用に造られた部屋なのである。
 銭山刑事は部屋の前に立った。
 幾重にも備えられた防音装置と、厚い壁と扉によって、部屋の外は物音ひとつ無く静かである。
 がちゃ。扉を開けて部屋の中に入る。
 窓ひとつ無いこの部屋の壁や床には、所狭しとありとあらゆる拷問の道具が並べ置かれている。
 中では、可奈子が刑事たちの手により、取り調べを受けていた。
 もちろんここでは普通の取り調べではない。牝奴隷たちに対しては、拷問という名の取り調べである。
 部屋の中央では、牝犬奴隷の可奈子に対して、それが行われていた。
 可奈子の両手首と足首には枷がはめられていて、枷につながった鎖は天井と床に伸びていた。
 可奈子は「X」の字の形で床から30㎝の高さで固定されて吊されていた。
 銭山刑事は可奈子の側に近づく。
 可奈子の乳房と背中には鞭打ちを受けた傷跡が残っていて、数カ所の傷跡からは血が流れていた。
 ここに連行されて来て、最初に受けたのが鞭打ちの拷問のようだ。
 そして今は・・・。全裸の可奈子の身体中に電流を流す線が付けられている。
 近づいてよく見る。
 コードを付けたワニ口クリップのギザギザの歯が、可奈子の両の乳房と乳首に、腹に、そして剃毛されてよく見えるヴァギナの左右のラビアと、クリトリスに噛み付いていた。
 またよく目を凝らしてみると、2本のコードがヴァギナの中へと伸びている。
 ・・・という事は2個のワニ口クリップが膣壁に噛み付いていることになる。
 後ろにまわってみる。尻の部分にも数個のワニ口クリップが付けられていた。
 アナルの中にもクリップが入れられ(噛まされ)ているようで、コードが1本アナルから出ていた。
 これだけの数のクリップがすべて、ギザギザのワニ口の歯で皮膚を噛み切って肉にまで噛み付いている痛さは、可奈子にとっては十分な苦痛をともなう拷問であったろう。
 とくにヴァギナやアナルにクリップが付けられるに至っては、それは屈辱よりも恐怖心が可奈子の心を覆っていた事だろう。
 この上に電流責めという拷問が加わっていたのだ。
 銭山刑事がこの部屋に来た時には、この拷問がすでに数度にわたっておこなわれたようで、可奈子はがっくりと首を落として気を失っていた。
 床には気を失う時に漏らした小便で水たまりができていた。
「こらっ。さっさと目を覚ませっ!」
 ザバァー。刑事の一人が可奈子の顔に向かってバケツの水をかける。
「う、う・・・ん・・・」
 可奈子が意識を取り戻したことを確認した刑事は、再び電流を流すスイッチを入れた。
 バリバリという音と共に、可奈子の身体中を電流が流れる。
「うっぎゃぁぁぁぁぁぁ!」
 可奈子の絞り出すような悲鳴が部屋中にこだまする。
 バリバリバリ・・・。
 「ぎゃぁぁ。ぎゃぁぁぁぁぁぁっ!」
 電圧が少しずつ上げられていく。
 ビリビリビリ。バリバリバリ・・・。
「ひえぇぇぇぇ!。ぎゅぇぇぇぇぇ!」
 銭山刑事の目に、可奈子の髪の毛の先が逆立ち、小さく放電の火花が立つのが見えた。
 バリバリバリ。
「ぎゃぁぁぁぁぁ。」
 可奈子の身体が反り返っていく。
 可奈子が気を失う寸前に、電流のスイッチが切られた。
 可奈子は息も絶え絶えに身体全体で大きく息をしていた。
 唾をだらしなく垂らしながら、わずかに開いた口からうわごとのような言葉が、途切れ途切れに聞こえてくる。
「も・・・もう・・・ゆるして・・・く、ださ、い・・・わ、私・・・全部・・・は、話・・・まし、た・・・」
 可奈子の目は開いてはいるが、瞳の焦点はすでになかった。
「私・・・強盗・・・の・・・共、犯・・・なんか、していま・・・せん・・・おねが、い・・・です・・・信じて・・・くだ、さい・・・」
 可奈子の頭の中は、すでに何も考えられない状態になっている事がみてとれた。
 可奈子の自白証言を記録した調書を読んでいた銭山刑事は、自白もれがあるのに気がついた。
 銭山刑事は取り調べの刑事にそれを指摘した。
 刑事は可奈子に向かって大声で怒鳴った。
「おいっ!。牝犬!。何が全部話ただ!。自白していないことがあるじゃないかっ!」
「え・・・・・・?」
 可奈子は何のことだかわからなかった。
「ごまかすなっ」。バシィィーン!。鞭が可奈子の背中を打つ。
「きゃぁぁっ。何のことだか・・・わからないです!。お願いもう許してっ」
 ビシィィーン!。鞭がもう一発可奈子の背中に打ち下ろされる。
「なに、わからないって?、ならば言ってやる。牝犬。調べによると、お前はマンコの穴とケツの穴の交互に少なくとも2,3回は、懐人23面相のチンポを入れているじゃないか。しかも中出しまでされているな」
 刑事の言葉に可奈子は愕然とする。
『ええ・・・。私・・・気絶している間にそんなにレイプされていたの?』
「・・・その時の、懐人23面相のチンポの長さと太さの大きさを言え!。
それと何回の前後の動きで射精をしたか?、チンポの挿入から射精までどの位の時間がかかったか?。マンコとケツの穴にチンポを入れられた時、どんな感じでどんな気持ちだったか?。また、チンポを入れられて、どの位でエクスタシーを感じてきたのか?。・・・さっさと答えろっ!」
 再び可奈子の背中に鞭が打たれる。
 ビシッ!。「きゃあっ!」
 刑事の矢継ぎ早の質問を聞いたところで、それは可奈子には答え用のないものであった。
「わかりませぇぇん。そんなことわかりません。お願いです、信じてください」
 可奈子は泣きながら刑事に懇願する。
「わからない訳がない!。お前の身体の中に何回も入ったチンポだぞっ!」
 ビシィーン!
 鞭で打たれた可奈子の背中からは、皮膚が切れて、血が滲んできていた。
「私はその時、気を失っていたんです!。本当です!。信じてぇぇ!」
 電流を流すスイッチが入れられる。
 ビリビリビリ・・・。
「うっぎゃぁぁぁ!」
 バリバリバリ・・・。
「ぎえぇぇぇぇっ!」
 可奈子は白目をむいて涎を垂らしながら、悲鳴を上げ続ける。
 ジョロジョロジョロ・・・。ブリブリブリ・・・。
 可奈子は苦しさのあまり、小便と糞を漏らしてしまった。
 電流を流すスイッチが切られる。
 可奈子は大きく肩で息をしている。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・。も、おぉ・・・ゆるしてぇ・・・」
 可奈子は蚊の鳴くような小さな声で呟いた。
 刑事は警官の一人に合図をする。
 それを受けた警官が、5,6本の束にした蝋燭を、可奈子の左足の下の床に置いた。
 その蝋燭に火が点けられ、蝋燭の炎はめらめらと可奈子の左の足の先を焼きだした。
「きゃぁぁぁ!。熱い!、熱い!、やめてぇぇぇ!」
 可奈子は左足を炎から遠ざけようとしたが、足首にはめられた枷と床に繋がれた鎖によって、まるっきり動かすことが出来なかった。
 足の先の皮膚が蝋燭の炎で焼かれ、赤く腫れていく。
「いやぁぁぁぁぁぁっ!。きゃぁぁぁぁぁぁぁっ!」
 可奈子に出来る事はただ悲鳴を上げる事だけだった。
「さあ、答えろ!。懐人23面相のチンポの大きさは?」
「わかりませーんっ。やぁぁぁぁぁぁ!。熱いーっ!」
「くそっ。強情な牝犬奴隷だっ!」
 取り調べの刑事は、スイッチ係の刑事に目で合図を送った。
 バリバリバリバリバリ!
 電流が流れる。
 「うぎゃああああああああああっっっっっ!」
 より甲高い、可奈子の悲鳴が部屋中に轟いた。
 可奈子の取り調べ(拷問)を見ていた銭山刑事は腕時計に目をやった。
 午後10時を過ぎていた。
「もうこんな時間か・・・それでは、私は家に帰るとするか」
 銭山刑事は近くにいる刑事に声をかけた。
「君たちは、今日は徹夜かね?」
「ええ。こいつの他にも、取り調べをする牝奴隷がまだいますからね」
 刑事はそう言うと、部屋の隅に置かれている、牝奴隷を入れている檻を指さした。
 銭山刑事は置かれている檻に近づく。
 牝奴隷が一匹ずつ入れられている檻が3つある。
 4つ目の檻は可奈子用で空だった。
 檻の中の全裸姿の牝奴隷たちは、全員後ろ手にされ手枷をはめられている。
 足にも足枷がつけられ、口枷と首輪もはめられている。
 牝奴隷たちはこの姿で、他の牝奴隷が拷問を受ける光景を見せられ、悲鳴を聞かされ続けるのである。
 それだけではない、自分たちが受けた拷問の後の掃除・・・出血や小便や糞で汚れた床を四つん這いになって、自分の舌や口を使って綺麗にさせられるのである。
 血の痕や小便は舌で嘗め取って、糞は口の中に入れ食べなくてはならないのだ。
 そして少しでも休むと、当然の事ながら、鞭打ちの刑が待っている。
 牝奴隷たちが入れられている檻は、身体を縮めて入っていなければならないほどの大きさしかなかったが、いま檻の中にいる牝奴隷たちは、その身体をより一層縮めて檻の隅で震えていた。
 檻の中には餌皿と便器を兼ねた小さな洗面器が1個置かれている。
 食事の時はこれの中にわずかな餌を与えられる。
 そして、食事以外の時には、この中に小便や糞をするのである。
 銭山刑事は、可奈子の悲鳴がこだまする取調室から出るとドアを閉めた。
 部屋からの騒音がピタリと止み、廊下は静寂の中に包まれた。
「ふううう」。たばこに火を点け、一服吸った銭山刑事は再び腕時計を見た。
 午後10時50分。
『あと、もう少ししたら、やつが、懐人23面相が動きだす時間だ・・・。
いや、もしかすると、きょうは動きださないかもしれない・・・。どちらにしても、我々には、やつが現れる場所が特定出来ないのが難点ではある。
・・・しかし、どんなことをしても、やつを逮捕してやる。社会の平穏を乱すあいつを、私は許さない。刑事としての使命でもあるのだ。・・・やつと、我々との戦いは、今始まったばかりなのかもしれないな。・・・』
 銭山刑事は、警察署の玄関に向かってゆっくりと歩き出した。
 静かな廊下には彼の靴音だけが響いていた。
 牝犬奴隷の可奈子は、3週間もの間取り調べ(拷問)を受けた後、懐人23面相の共犯では無い事がわかり、無事釈放され家へと送り届けられた。
 その時も、パトカーのトランクの中に押し込められて、送られたのである。
 それと共に、可奈子が事件当時にSMサイトのHPを見ていたことや、それでオナニーをしていたこと、懐人23面相にヴァギナとアナルを犯されたこと、その他、可奈子の羞恥的な事を取り調べの中で無理やり自白させられ、記録したレポートも可奈子の父親に提出された。(もちろん、捜査の秘密となる部分は記録されていないが・・・)
 そして、それからまた10日が過ぎた。
 キキィィィーッ。可奈子の家の前に1台のパトカーが止まり、銭山刑事が降りてきた。
 銭山刑事は、ある牝奴隷を警察に連行する途中で、可奈子の家の近くをちょうど通ったので、その後の事を話に立ち寄ったのだ。
 玄関先では、可奈子の2人の弟たちが、背中を向けて犬に向かって何かを言っていた。
 近づいてみる。
 弟たちの前にいたのは、玄関先で鎖でつながれている牝犬奴隷の可奈子であった。
「ほら、オシッコを飲ませてやるから、口を開け」
 弟たちは口を大きく開けている可奈子の顔めがけて小便を放射した。
 シャァァァァァァー。
 可奈子は2人の小便を懸命に口で受け止めていた。
 喉がゴクゴクと動いて、弟たちの小便を身体の中へと飲み込んでいる。
「今日はこぼさないでちゃんと飲めたな。この牝犬。」
「毎日、パパにあれだけ打たれたら、少しは利口になるよな。バカ犬。」
 2人の弟は口々に、可奈子に向かって嘲笑の言葉を浴びせた。
「バカな牝犬奴隷の可奈子に、ご主人様たちのオシッコを飲ませていただき、ありがとうございました」
 嘲笑する2人のご主人様の前で、可奈子は地面に頭を付け土下座をした。
「よっ。お父さんはご在宅かな?」
 銭山刑事は2人の兄弟に声をかけた。
「あ。銭山の刑事さんだ。はい、いますよ。今、呼んできまーす」
 2人は家の中へ飛び込むと、パタパタと走って行った。
 銭山刑事は玄関の前で待つことにした。
 ふと、可奈子の方を見る。
 可奈子は小便のしぶきがついた両手を舐めていた。
 身体中には、無数の傷跡が付いている。
 両足の先には、取り調べで付けられた、火傷の跡が今も痛々しく残っている。
 そして背中には・・・帰って来てから父親によって入れられたのであろう、入れ墨の文字が浮かんでいた。
『私はSMを見てオナニーをしていた淫乱な牝犬です』
 可奈子の力のない瞳が銭山の顔を見上げた。
 可奈子と銭山の目が合う。
 銭山の顔を見ていた可奈子の瞳が、何かを思いだしたかのように一瞬輝いた。
「わたしは・・本当に昔から・・ここに住んでいたんでしょうか?・・・」
 可奈子は、ほとんど聞き取れないぐらいの声で、ポツリポツリと呟いた。
「え?」
 よく聞こえなかった銭山は顔を近づけた。
 しかし、もう可奈子の瞳は、輝きを失った先程と同じ瞳に戻っていた。
 可奈子は、ただ空をボウと眺めているだけだ。
 銭山刑事は、可奈子が最後に何を言いたかったのか、その瞳から読みとることはもう出来なかった。
(おわり)


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