集中立地の選挙区で原子力論戦影潜める(2013/07/10 11:17)
原子力施設が集中立地する青森県。有権者は候補者に具体的な政策の提示を求めている=5日、むつ市
 参院選青森選挙区(改選数1)で、原子力政策をめぐる論戦が影を潜めている。原発や核燃料サイクル施設が集中立地する青森県。昨年の衆院選では、東京電力福島第1原発事故に伴う不安の高まりを背景に、多くの政党が「脱原発」や「卒原発」などのキャッチコピーを競うように掲げた。あれから1年もたたずに迎えた参院選にもかかわらず、演説で触れない候補者も。有権者からは「きちんと考えを示してほしい」と不満の声も上がる。(参院選取材班)
 
 街頭で原子力政策を強く訴えているのは共産党新人の吉俣洋候補(39)。原発事故がいまだ収束していないことを踏まえ、原発の即時ゼロを掲げ、サイクルも「プルトニウムの使い道が未定で、政策的に追い込まれている」と中止を唱える。
 無所属新人の工藤信候補(59)は「農畜産物の保存にはエネルギーが必要で、再稼働を認めるべきだ」としながらも、段階的な廃止を主張。
 自民党新人の滝沢求候補(54)は、施設の安全性の確保を大前提に「地域経済の活性化のため原発の再稼働は必要」と強調する。
 幸福実現党新人の石田昭弘候補(54)は原発推進などを訴える。
 だが、候補者の主張はいずれも総論的。具体的な工程を示さず、高レベル放射性廃棄物など核のゴミ≠フ処分の在り方にも言及していない。衆院選で各党が一定の数値目標を提示したことを考えれば、明らかに“後退”した印象は否めない。
 生活の党現職の平山幸司候補(43)は「主張はあるが、短い演説では誤解を招く可能性がある。例えば原発ゼロは、全ての原子力施設のゼロとは異なる」などとして、街頭では原子力の話題にほとんど触れない。
 みんなの党は、8日に来青した渡辺喜美代表が原発ゼロと再生可能エネルギーへの転換を強く訴えたものの、新人波多野里奈候補(40)は目立った主張をしていない。
 原子力施設が立地する地元の有権者は、低調な議論に不満を募らせている。
 六ケ所村の林業男性(78)は「何が問題で、どう解決するかはっきり言わないと駄目だ。投票の判断ができない」と批判。東通村の60代の漁業女性は「福島の事故で正直、不安もある。どう安全を確保するのか候補者の口から直接聞きたい」と注文を付けた。
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原子力施設が集中立地する青森県。有権者は候補者に具体的な政策の提示を求めている=5日、むつ市

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