2013.7.10 05:04(2/2ページ)

沖縄熱い!阪神・新井、ちゅら弾4打点!

7回のジェット風船

7回のジェット風船【拡大】

 高々と舞い上がった白球が、琉球の夜空によく映えた。大きな放物線を描いた打球が左翼席へ着弾。球場中に指笛が響き渡るなか、新井が悠々とダイヤモンドを一周した。ダメ押しの10号2ラン。球団史上初となる沖縄での公式戦初勝利に導いた。

 「次の1点がどっちに入るか、重要な1点だった。うまく反応できたね」

 3-1で迎えた六回無死一塁だった。中日2番手・岡田が投じた120キロのスライダーを仕留めた。和田監督も「大きかったね。相手に流れがいきかけた中での本塁打だったんで」と称える3試合ぶりの一発だ。

 1点先制した直後の一回にも一死一、二塁から右中間フェンス直撃の2点二塁打。この打球もあと数センチでサク越え、という当たりで、あまりにギリギリだったために和田監督が抗議するほどだった。だが、打ち直しは問答無用の一発。5月7日の巨人戦(東京D)以来、今季3度目となる4打点もマークした。

 恩はけっして忘れない。6月11日、鳴尾浜での1軍全体練習を終えると、急いで甲子園へ向かった。ウエスタンの試合に、恩師の広島・内田順三2軍監督(65)が訪れていた。打撃コーチだった05年にカープで指導を受け、43本塁打を放ち。キングを獲得。「駒大の先輩だしね。あいさつした。ネタになるようなことはないよ」と笑ったが、猛虎が03年の宜野座キャンプ初年度からお世話になる沖縄の虎党にも同じ気持ちだった。

 19日からのオールスターに監督推薦で5年ぶりの出場が決まったが、2位だった一塁手部門で21万3245票を得た。「たくさん投票していただいた。お礼を言いたい」。感謝の気持ちをバットに込めた。

 昨季は9本塁打だったが、74試合目で早くも2けた弾に到達。7日の広島戦(マツダ)では、前田健を苦手としているため、5番を今成に“譲った”が、黒田ヘッドコーチが「お兄ちゃんが打ってくれた方がええ」。得点圏打率は・328。4番のマートン(・318)より上で主力ではトップだが、数字よりも、どうしても1点がほしい場面で主役になれる。虎党は何番を打つかではなく、そんな姿を求めているはずだ。

 「またあした、沖縄のタイガースファンに喜んでもらえるようにがんばります」

 今季4度目の4連勝で貯金「12」。首位巨人とは3・5差のままだが、記念すべき虎の沖縄1号を放ち、勢いは十分。次も、ここ一番で打って勝つ。背番号25に揺るぎないたくましさが宿れば、Vロードはおのずと開ける。 (西垣戸 理大)

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